1週間使った感想は...とにかく「シーン」としたMac
Apple M1を搭載しているからといって、今度のMacBook Airが「別モノ」ということはない。プラットフォームの差異はmacOSがほぼ完璧に吸収しており、多くのIntel Mac用アプリも初回の起動に少し引っ掛かりを感じる程度で、移行作業どころかほぼそのままの状態で動作している。
実際に試したアプリは20を超える程度だが、かつてPowerPCからIntelへの移行を経験したこともあり、それ以外についてもあまり心配していない。Mac App Store経由で入手できるアプリは、Appleの審査を経ていることもあり不安はないし、外部から入手するしかない日々の作業に不可欠な道具たち -- EmacsとUpTeX(LaTeX環境)、Amazon Music HDはいずれもIntelネイティブ -- も快適に動作している。
ただ、現在メインで利用しているMacBook Pro(2019)と比べると、明らかに変化した点がいくつかある。ひとつはキーボード。MacBook Pro(2019)はバタフライキーボードだが、M1 MacBook Airには(改良版)シザー構造Magic Keyboadが搭載されている。バタフライキーボードにさまざまな問題があることはもちろん承知しているが(修理プログラムが開始されているほどだ)、浅いキーストロークに慣れた身には、ややフカフカに感じられる。
キーボードの慣れは時間が解決するにしても、「手の冷え」はなかなか慣れそうにない。MacBook Proは、使い始めから数分もすると(SoCと手の両方から)熱が伝わるのだろう、パームレスト付近がほどよい温度になるのだが、M1 MacBook Airは10分経ってもヒンヤリしたまま。メールの読み書きやWEBブラウジング程度では、冬の朝の冷え込みには勝てない。
もうひとつの大きな変化が「静寂」だ。M1 MacBook Airは、何をやっても静かなまま。もちろん静かなことは歓迎だが、暴走プロセスの発生をファンの回転音で知ることが多かったため、一抹の不安も残る。
以上の変化をオノマトペで表現すると「シーン」というところだろうか。ファンの回転音がしないことは、まさに「シーン」だし、Magic Keyboardはそこまで静かではないものの、パタパタ感が強いバタフライキーボードより「シーン」に近い。なかなか暖まらないパームレストについて言えば、冬場はシーンというより「シンシン(と冷える)」だが、久々のファンレスMacを的確に表現している言葉であることは間違いない。
ストレステストにも「静かでクールな」ヤツだった
ただ「シーン」ではレビューにならないので、ちょっとしたストレステストを試すことにした。M1 MacBook AirとMacBook Pro(13-inch Mid 2019/1.4GHz)の両方で、8コアすべての負荷が100%になるコマンドを実行(新・OS Xハッキング! 第248回をご参照)、その間Macの表面数カ所を温度計で測るというものだ。
実行したコマンドは以下のとおり。M1 MacBook AirとMacBook Proはいずれも8コア、単純な「yes」コマンドでは不十分なため、opensslコマンドの暗号化処理測定機能をメニーコア環境で実行することにしたのだ。なお、両機種とも表面温度は室温レベル(約26.5度)からスタート、木製テーブルの上に置き1分間隔で計9回測定している。
$ openssl speed -multi `getconf _NPROCESSORS_ONLN`
MacBook Proでコマンドを実行すると、40秒ほどでファンの回転が始まった。最初はごく小さい唸りのような音だが、60秒を超えたあたりから明らかにそれとわかる回転音を出し始め、100秒ほどで音量はMAXに。掃除機ほどではないにせよ、「キーン」という耳障りな音だ。
一方のM1 MacBook Airといえば、澄ましたもの。物理的にファンが搭載されていないのだから当然だが、何分経過しても音はしない。文字どおり「シーン」としている。
表面温度にも違いが。F6キーの上あたり(SoC付近)はそれほどでもないが、遠ざかるほど温度差が大きくなるのだ。Touch IDボタン右斜め上の温度は、MacBook Pro9回目の計測では39.0度にも達したが、M1 MacBook Airは32.6度。ESCキー左斜め上はMacBook Proが31.6度、M1 MacBook Airが31.4度と大差ないことからすると、排熱構造に違いがあるようだ。
温度の違いは触れてもわかる。パームレスト9回目の計測では、MacBook Proの31.2度に対しM1 Book Airは29.2度と、2度も差が生じている。今回の記事冒頭では、M1 Book Airを1週間利用した感想として「手の冷え」を挙げたが、気のせいではなく実際に温度が低いことが判明した。M1 MacBook Airは「静かでクール」なのだ。
まとめ 〜 迷わず行けよ、行けばわかるさ 〜
M1 MacBook Airを1週間使い改めて感じたことは、Appleがじっくり練り上げたであろう移行プロセスの用意周到さだ。基盤にあるユニバーサルバイナリというかMAB(Multi Architecture Binary)の機構は、それこそ四半世紀近い技術と実践の裏付けがあるわけで疑うべくもなく、M1でもまったく問題なく運用されており、その意味での安心感もある。
やや気になっていた「Rosetta 2」についても、支障なく動作する...というレベルを大きく超える完成度だ。異常終了などの不安定さはなく(1週間で一度も不具合なし)、パフォーマンスについてもIntel Macで実行したときと同等どころかそれを上回るほど。PowerPC→IntelのときのRosettaはJIT変換のみだったが、Rosetta 2は初回起動時のバイナリトランスレーションでコード解析/最適化処理を行っているらしく、それが驚愕級のパフォーマンスに貢献していると見た。ここは検証に時間がかかるため、連載「新・OS Xハッキング」でフォローするつもりだ。
どうしてもM1 MacBook Airをソフトウェア目線で見てしまう筆者だが、「静かでクール」なハードウェアも気に入った。これで10万円チョイとは...エントリー層のみならずパワーユーザ層もじゅうぶん使える処理能力を持つだけに、我ながらいい買い物をしたと自負している。これまでありがとう、Intel Mac。これからはApple Silicon...10年後はどうなるかわからないけれど。
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