第8世代Coreプロセッサーはそろそろ買い替えの頃合い!?
2021年06月18日 17時20分更新
インテルのメインストリームCPUにおける4コア構成はCore 2 Quadから始まり、その後10年以上、「最上位モデルは4コア」という時代が続いていた。この4コア構成の慣習を破り、6コア/12スレッドという構成に大きく進化したのが、2017年10月に登場した第8世代Coreプロセッサーの「Core i7-8700K」だ。ASCII.jpに掲載されている当時の発表記事を見ても、その興奮と期待がわかるだろう。
物理コア数の強化は性能を大きく引き上げられるため、ある意味、それまでのCPUを過去のものにしたといっても過言ではない。
もちろん、サーバー向けやエンスージアスト向けモデルでは4コアを超える構成もあったが、この多コア化の波が、メインストリームへと降りてきたことの意味は大きい。それだけにインパクトがあり、Core iシリーズ始まって以来の大変革ともいえる出来事だった。
大きな期待を背に発売されたCore i7-8700Kは、しっかりと期待通りの性能を示したことから、ハイエンドBTOパソコンやゲーミングPCでの採用が増加。複数のソフトを同時に使う「メガタスク」をキーワードに、人気モデルとなった。
とはいえ、このCPUが発売されたのは、もう4年近くも前の話。今でも一線級の性能があるものの、そろそろ周辺のパーツも含め、メンテナンスや買い替えが視野に入る頃合いだ。
この買い替え候補の筆頭となるのが、最新の第11世代プロセッサーだ。今年の3月に発売された「Core i7-11700K」が、Core i7-8700Kからどのように進化しているのかをチェックしていこう。
「Core i7-11700K」への買い替えで進化するポイント
Core i7-8700KとCore i7-11700Kはアーキテクチャーが異なるため、単純な比較はできないものの、それを含めてどの部分が進化しているのかを見てみよう。
まず気が付くのが、コア構成が8コア/16スレッドへと向上していること。第8世代でもコア数の向上で性能を大きく向上させていたが、Core i7-11700Kはさらに物理コアが2つ増加している。これだけでも性能の底上げが期待できるが、実はそれだけではない。
第11世代Coreプロセッサーがとくに力を入れているのが、第10世代Coreプロセッサー比で最大19%向上したというIPC(Instructions Per Clock)……クロックあたりの命令実行数だ。このIPCが向上すれば、動作クロックが同じでも性能が向上する。
コア数の増強はマルチスレッド性能は高くなるものの、消費電力や発熱増加対策のため、動作クロックは引き上られないどころか、逆に引き下げる必要すらあった。そのため総合性能では高くなっても、シングルスレッド性能はほぼ据え置きとなることが多かったのだ。
実際に仕様を見比べてみると、Core i7-11700Kのベースクロックが、Core i7-8700Kと比べ低くなっていることに気づくだろう。単純にこれだけ見ると、いくらコア数が増えてマルチスレッド性能が高くなっても、シングルスレッド性能は下がっているのではないかと疑ってしまう。
しかし、実際はIPCが大きく向上しているため、たとえ動作クロックが低くなっていたとしても、それを上回る性能を発揮できるのがCore i7-11700Kの強みだ。さらにいうと、シングルスレッド動作であればターボブーストが威力を発揮する。
ターボブーストはCPUの負荷や消費電力、発熱に余裕がある場合に行なわれる、自動オーバークロックともいえる機能だ。シングルスレッドの場合は、最大でこの上限まで動作クロックが向上するため、ベースクロックとは異なる性能となる。
ここに注目すると、Core i7-8700Kが最大4.7GHzというのに対し、Core i7-11700Kは最大5.0GHzと、0.3GHzほど高くなっていることに気づくだろう。IPCが向上しているうえ動作クロックも高いとなれば、Core i7-11700Kのシングルスレッド性能が大きく上回ることは予想に難くない。
もう少しハード寄りの視点で見た時に興味深かったのが、キャッシュ容量の変化だ。仕様ではCore i7-8700Kが12MB、Core i7-11700Kが16MBとなっており、コア当たりの容量でいえば2MBと同じになっている。
実はこの容量は、L3キャッシュのものだ。より詳しく見るため、それぞれのCPUの詳細を「CPU-Z」で比べてみよう。
見ての通り、L1、L2キャッシュどちも増量されていることが確認できた。こういった細かい見直しや強化が、IPCの向上へとつながっているわけだ。
もちろん向上しているのはCPU性能だけではない。内蔵GPUが新世代の「Xeアーキテクチャー」ベースとなり、「Intel UHD Graphics 750」になっているのが新しい。
Core i7クラスになると内蔵GPUを使うことは少なく、別途ビデオカードを装着することの方が多いとはいえ、どのくらい性能が変わっているのか気になる部分だ。
CPU単体の部分ばかりを見てきたが、実は他にも大きな進化がある。それが、PCI Express 4.0に対応したこと。これは周辺機器、とくにビデオカードやSSDとの接続で威力を発揮するもので、より高速なデータ転送を実現できるようになるのがメリットだ。
現状は体感できるほどパフォーマンスが変わるわけではないが、特定条件ではボトルネックとなっていることは確か。この部分が解消されることにより、PCの総合性能が底上げされる可能性は高くなる。
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