10月上旬、秋晴れのハマスタ。試合前のウォーミングアップをこなす選手たちの中に、スーツ姿で走り回る男の姿があった。
この日、横浜DeNAベイスターズから戦力外通告を受けた、斎藤俊介投手(27)だ。「俺の分までがんばれよ!」。球団事務所からハマスタへ駆けつけて、仲間を激励した。エスコバーと柴田に「アップしていけよ」と言われ、スーツ姿のまま輪に加わり、全力疾走。その姿はすぐにスポーツ新聞のニュースになり、ツイッターを通じて、ファンに広がった。
戦力外通告。プロ野球選手にとって最も過酷な日に、なぜこんな晴れやかな顔ができるのか。「もちろん、ショックだったし、悔しかった」。斎藤は言う。「でも、みんなのところにあいさつに行った時、『斎藤の元気に助けられたよ』と声をかけられて。最後まで僕らしく、と」
千葉県出身。成田高校、立教大、JX―ENEOSを経て2017年のドラフト4位で入団した。けがとの闘いが続く選手生活で、1軍登板は19年の16試合のみ。本人も、「声出しに懸けたプロ生活」と笑う。
もともと、内気で恥ずかしが…
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