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姿が見えた「21H1」と2021年以降のWindows:Windowsフロントライン(1/2 ページ) - - ITmedia

 米Microsoftは2月17日(現地時間)、次期大型アップデート(機能アップデート)にあたる「21H1」の概要を公式Blogで紹介した。今回は「21H1」を含むWindows 10回りの最新アップデートを紹介しよう。

Windows 10大型アップデート 2021年春のリリースが見込まれる「21H1」

「21H1」で提供される機能とその時期

 同Blogの中では、「2021年前半」以外の具体的な21H1の提供時期について触れていないが、例年の経緯から考えて4月中にRTM(Release To Manufacturing)に相当する最終版がリリースされ、5月以降に一般提供が開始されるスケジュールになると予想される。

 現行の「20H2」こと「October 2020 Update」と同様に「遅れもなくほぼ定例通り」にリリースされると考えられるが、その理由としては本連載でも何度か触れているように、「21H1は20H2同様にほぼ小規模なアップデートに留まる」ということが挙げられる。

 21H1では「x64 Emulation for Windows 10 on ARM」への対応など、プラットフォームによっては大きな機能変更があるが、機能全体で見れば変化の振り幅は少ない。むしろ、2021年後半に登場する「Cobalt」をベースとした「Sun Valley」への布石といった意味合いが強い。Sun Valleyでは、ユーザーインタフェースを含むルック&フィールに大きな改変が加わるといわれており、Windows 10としては久々の大規模なアップデートになると見込まれる。

 21H1では、「Windows 10(2004)」こと「May 2020 Update」以降で導入された「Servicing Technology」がベースになっており、大型アップデートながら通常の月例パッチ(毎月第2火曜日に提供されるセキュリティアップデート)と同程度の感覚でアップデートが行われる。

 つまり、2004または20H2を既に導入済みのWindows 10であれば、通常の大型アップデートの3分の1以下の容量のファイルをダウンロードしつつ、Windows Updateと同程度の時間で大型アップデートの適用が可能になる(とMicrosoftでは説明している)。

 この他、Blog内で触れられている21H1の機能的な特徴は下記のようになる。

  • Windows Helloにおけるマルチカメラのサポート。内蔵カメラとは別に外部カメラが接続された場合、外部カメラ側をデフォルトで使うカメラに設定する
  • Windows Defender Application Guard(WDAG)のパフォーマンス改善。WDAG経由でOffice文書を開く際など、長時間待たされていた問題が改善されている
  • Windows Management Instrumentation(WMI) Group Policy Service(GPSVC)のアップデートにおけるパフォーマンス改善。これはリモートワークを想定したもの

 非常に地味だが、これらはおそらく昨今のWFH(Work From Home)でのPC利用を強く意識している。例えばMicrosoft Teamsを含むWeb会議を行う場合、PC内蔵カメラではクォリティーが低いために、外部接続のカメラを利用するケースが多いと聞いているが、Windows Helloにおけるデフォルト設定を変更する理由の1つはここにあると考える。同様に、WDAGやWMI GPSVCの問題もリモートアクセスに起因する話題であり、それだけコロナ禍におけるPCのリモート利用が増加したということなのだろう。

 なお、2月17日のタイミングで21H1に相当する開発途上ビルドのBeta Channelへの配信が開始されている。公式Blogによれば、Windows Insider ProgramのBeta Channel登録者に対して配信されているのは「Build 19043.844」で、同チャネルで「seeker exprience」に設定しているユーザーには、Windows Updateを通じて最新ビルドの配信が行われる。

 興味深いのは、同日にBeta ChannelとRelease Previewの両チャネルに対しては20H2に相当する「Build 19042.844」の配信も行われており、ビルドのメジャー番号自体はほとんど変化していない。

 おそらく、これは21H1自体が20H2からほとんど変化がないことを意味しているのではないかと想像する。同様に、Beta Channelでのテストが開始されたことで21H1のリリース時期が近付いており、1カ月半から2カ月以内にはRelease Previewでのテストも行われると推察する。

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緩やかなWindows 10バージョン別シェアの推移

 Sun Valleyに対応する最初の大型アップデート21H2では、ここまで触れたように比較的大規模な変更を伴うことが予想されており、過去の経緯からみて「移行に際してのトラブル」「提供時期の遅れ」といったものが出てユーザーの新バージョンへのシフトが全体に遅れるのではないかと考えている。

 一方で、次回の21H1を含み、大型アップデートの適用負荷を軽減するServicing Technologyが導入された直近の3バージョンについては、比較的安定版としての役割を担っており、21H2が安定するまではこの3バージョンに比較的多くのユーザーが滞留するのではないかと予想する。

 恒例のAdDuplexが出した2月時点でのWindows 10のバージョン別シェアでは、「May 2020 Update(2004)」と「October 2020 Update(20H2)」のシェアが前月比でそれぞれ2〜3%程度増加し、合計値で61.8%となっている。

 過去のバージョンの中でも比較的緩やかな増加ペースではあるが、前述の「Sun Valley提供時期の安定3バージョン」として、21H1を加えたシェアは2022年初頭くらいまで7〜8割程度の水準を占めると考えており、これより古いバージョンのWindows 10を使うユーザーは、当面はこの3バージョンに収まる範囲でアップデートを目指すといいかもしれない。

Windows 10大型アップデート 2021年2月末時点のWindows 10のバージョン別シェア(出典:AdDuplex)
Windows 10大型アップデート Windows 10のバージョン別シェアの推移(出典:AdDuplex)

2021年以降のMicrosoftとWindowsを彩る謎のキーワードたち

 最後に、これが21H1や21H2、さらにはSun Valleyに関係するネタかは分からないが、リーク情報を含むMicrosoftやWindowsの最新情報を提供する人々の興味深いツイートがあったので紹介しておく。

 1つはWalkingCatの紹介する「Windows Web Experience Pack」で、同ツイートに付随する返信などを見る限り「Windows Storeを介さないWebアプリケーション実行スキーム」のように思える。

 もう1つは、おそらく「One Outlook(Project Monarch)」に関するトピックで、Aggiornamenti Lumiaというユーザーが紹介するスクリーンショットには、Outlookクライアント上に複数のアプリケーションアイコンやリンクが並んでいる。

 Webアプリケーションを適時呼び出す仕組みと思われるが、詳細は後々明らかになるだろう。同様に、かつて紹介した「MetaOS」のキーワードが並んでいるのも興味深い点で、以前ザック・ボーデン氏が「MetaOSとはMicrosoft 35向けのWebアプリケーションプラットフォーム」と説明していたのが、One Outlookプロジェクトにひも付く形で2021年末から2022年にかけてやってくることになるのかもしれない。

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