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待望のミドルレンジGPU「Radeon RX 6700 XT」の実力をチェック(2021年3月17日)|BIGLOBEニュース - BIGLOBEニュース

 間もなく、AMDの新型GPU「Radeon RX 6700 XT」を搭載するグラフィックスカードが市場に投入される。Radeon RX 6000シリーズのミドルレンジモデルとなる同GPUは、先行するハイエンドモデルよりもスペックを抑制することで、米国における想定価格は479ドル(約5万1000円)と比較的手頃となっている。
 昨今のマイニングブームもあって、国内のPCパーツ市場ではグラフィックスカードの品不足感が強い。ただしハイエンドモデルに人気が集まっていることもあり、Radeon RX 6700 XTのようなミドルレンジモデルは初回入荷時の入手性は比較的高い。狙っているという人も少なくないだろう。
 Radeon RX 6700 XTの実力はいかほどのものだろうか。リファレンスカード(メーカー自らが設計したグラフィックスカード)を通して実力をチェックしてみよう。
●新しいGPUダイを採用 「Infinity Cache」は96MBに減量
 先行するハイエンド製品と同様に、Radeon RX 6700 XTは最新のGPUアーキテクチャ「RDNA 2」を採用している。
 RDNA 2は前世代の「RDNA」と同様に7nmプロセスを維持しつつも、新しいキャッシュメモリ「Infinity Cache」を搭載し、性能の底上げと省電力性の向上を両立したことが特徴だ。第3世代/第4世代Ryzenプロセッサとの組み合わせで利用できる「Smart Access Memory(SAM)」や、「DirectX Raytracing(DXR)」にも対応している。詳しい説明はRadeon RX 6800/6800 XTのレビュー記事を参照してほしい。
 先述の通り、Radeon RX 6700 XTはRadeon RX 6000シリーズのミドルレンジモデルだ。フルHD(1920×1080ピクセル)からWQHD(2560×1440ピクセル)のゲーミングに最適化されており、ハイエンド製品と比べるとスペックは“控え目”となっている。
 分かりやすい部分としては、GPUダイが既存モデルの「Navi 21」から、少しコンパクトな新型の「Navi 22」に変更された。製品説明資料などで見比べると、明らかに小ぶりになっていることがよく分かる。その他、主要スペックは以下の通りとなっている。
・演算ユニット(CU):40基
・ストリームプロセッサ(SP):2560基
・グラフィックスメモリ:12GB(GDDR6/192bitバス)
・Infinity Cache:96MB
・消費電力:230W(リファレンスカード)
 AMDいわく「(最近人気を集める)WQHDで高リフレッシュレートなディスプレイと組み合わせると最適」なスペックだという。
 従来の最下位モデルだった「Radeon RX 6800」と比べるとCUとSPは3分の2に削減されている。グラフィックスメモリは4GB削減された上、バス幅も192bitに狭められている。Infinity Cacheも128MBから96MBに減らされている。この「スペックダウン」が実際のゲームに与える影響は、後ほどベンチマークテストで確認していく。
 ちなみに、Radeon RX 6700 XTのリファレンスカードの消費電力は230Wで、GPUの補助電源ピンは「8ピン+6ピン」構成となっている。既存モデルよりも消費電力は少なめだ。それに合わせて、放熱機構もトリプルファンからデュアルファンとなっている。
 先述の通り、米国での想定価格は479ドルだ。しかし、GPUの供給不足によるグラフィックスカードの価格が全体的に高騰している影響もあって、仮に在庫があったとしても当面はどのカードもやや高値で推移することが予想される。
 新製品のリリースタイミングにも関わらず、このような状況が続くのはユーザーとしては悩ましい限りだ。こればかりはいかんともしがたいが、可能な限り早いタイミングでの問題解消を願うばかりである。
●Radeon RX 6700 XTのグラフィックス性能を検証
 ここからは、Radeon RX 6700 XTの性能をベンチマークテストを通してチェックしていく。
 今回のテストでは、Ryzen 9 5900 XT(3.7G〜4.8GHz、12コア24スレッド)を搭載するAMDプラットフォームでテストを実施した。比較対象として、Radeon RX 6800とRadeon RX 6800 XTを搭載するグラフィックスカードも用意した。
 グラフィックスドライバーは、RX 6700 XTのみテスト版の「Adrenalin 20.50」を、発売済みの2製品に関しては執筆時の最新公式版の「Adrenalin 21.2.3」を利用している。なお、ベンチマーク結果は全てSAMを有効化した際の数値となる。
3DMark
 まずは、3D描画性能を確認できる定番ベンチマークソフト「3DMark」の結果を確認していこう。
 DirectX 12ベースの「Time Spy」系のテストでは、RX 6700 XTの総合スコアはTime Spy(フルHD)で11327、Time Spy Extreme(WQHD)で5260と、当然ながらRX 6800/6800 XTを上回ることはない。
 Time Spyにおけるスコア差は、RX 6800比で18%前後、RX 6800 XT比で26%前後。負荷の大きくなるTime Spy Extremeでは、スコア差がRX 6800比で20%前後、RX 6800 XT比で35%前後と広がってしまう。従来製品比べると、パフォーマンス面では明確な差がある。
 DirectX 11ベースの「Fire Strike」系ベンチマークでも、この傾向は変わらない。負荷の低いFire Strike(フルHD)では10〜20%、4K(3840×2160ピクセル)で描画するFire Strike Ultraでは20〜30%のスコア差が生じる。
 フルHDではスコア差はそれほど大きくならないが、解像度を上げるに従ってパフォーマンスに開きが出てくる印象だ。
FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク
 実際のゲームをベースにしたベンチマークテストの結果も見てみよう。
 最初に実行した「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークテスト(FF14ベンチマーク)では、描画品質を“最高品質”に設定し、フルHD、WQHD、4Kの3種類の解像度で計測を実施した。
 RX 6700 XTは、全ての解像度で「非常に快適」判定となった。負荷の軽いゲームタイトルであれば、4Kでプレイしても差し支えなさそうではある。特にフルHDにおけるスコアを比較してみると、RX 6800 XTとのスコア差は10%未満だ。最近の売れ筋である「フルHD/リフレッシュレート144Hz」というスペックのゲーミングディスプレイと組み合わせで使う場合、RX 6700 XTは極めて手頃な選択肢といえる。
 解像度が上がってしまうと上位GPUに少しのスコア差を付けられてしまうが、AMDの言う通り「ハイリフレッシュレートディスプレイを活用できる」だけのスコアは記録できている。
 より負荷の高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」(FF15ベンチマーク)の結果も見てみよう。このテストでは描画品質を最高段階の“高品質”に設定し、フルHD、WQHD、4Kの3種類の解像度で計測を実施した。
 フルHDであれば、RX 6700 XTのスコアは1万を超える。これなら、AAAタイトルでもフルHDなら高水準のパフォーマンスを発揮できるはずだ。WQHDになると、高画質設定で高フレームレートを出すのは難しくなる。とはいえ、ゲームのプレイ自体は問題なく行える。
 過去のテストでも明らかなことだが、グラフィックスに関する負荷が高くなると、上位GPUとのスコア(パフォーマンス)差は大きくなる。逆にいえば、それほど負荷を高めなければ差は出づらいということでもある。極端に高い解像度やフレームレートを求めなければ、RX 6700 XTは良い選択肢となりそうだ。
ボーダーランズ 3
 続けて、実際のゲームを使ってフレームレートを測定してみよう。DirectX 12 APIを利用したAAA級タイトル「ボーダーランズ 3」では、ゲーム内ベンチマークテストを使ってフレームレートをチェックした。画質プリセットは最高の“バッドアス”とした上で、フルHD、WQHD、4Kの3つの解像度で計測している。
 RX 6700 XTの平均フレームレートは、フルHDで120fps前後、WQHDで88fps前後、4Kで48fps前後となった。フルHDなら高リフレッシュレートディスプレイを問題なく生かせる。WQHDでも、最小フレームレートは73fpsと60fpsを上回っているので、快適なプレイは期待できる。
 一方、4Kではプレイ自体は可能だが平均フレームレートが60fpsを切ってしまう。4Kで快適にプレイしたいなら、RX 6800/6800 XTの方が良いだろう。とはいえ、米国の想定価格ベースで100ドル(約1万1000円)高価なRX 6800に手を出すよりも、より手頃なRX 6700 XTを選びたいという人も多いはずだ。
Godfall
 同じく高負荷なタイトル「Godfall」を試してみよう。画質設定はプリセットに「エピック」を選択し、解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類に設定。ベンチマークモード使用中の1分間のフレームレートを「OCAT」で計測した。
 このタイトルでは、RX 6700 XTはWQHDまで最小フレームレートが60fpsを下回らない。これまでの傾向を見ても、WQHD以下の解像度で快適なゲーム環境を構築したいのであれば、RX 6700 XTはかなり有力な選択肢となり得る。
 高負荷タイトルの場合、高リフレッシュレートにこだわるとRX 6800の方が有利な場面も散見されるが、どちらが良いかは理想とする環境(60fpsか144fpsか)や、日ごろプレイするゲームの負荷によって変わるだろう。
RT性能は控えめ
 最後に、DXRを有効にできるタイトルでリアルタイムレイトレーシング(RT)を掛けた際のパフォーマンスを見ていこう。まずは3DMarkの「Port Royal」だ。
 AMDは、競合のNVIDIAと比べるとDXRへの対応でやや出遅れている。そのこともあって、NVIDIAの現行GPU(GeForce RTX 30シリーズ)と比べると、Radeon RX 6000シリーズはRTのパフォーマンスは高くない。この傾向は、Radeon RX 6700 XTにも当てはまる。
 スコアを見れば一目瞭然だが、GPU自体のパワーが控え目ということもあり、Radeon RX 6700 XTのRTは「取りあえず使える」というレベルだ。快適に使えるかと言われると微妙である。
 続いて、DXRに対応したゲームタイトル「Control」でフレームレートをチェックする。画質プリセットは“最高”、解像度はこれまで同様にフルHD、WQHD、4Kの3種類。ゲーム内の一定コースを移動した際のフレームレートを「OCAT」で計測した。
 RX 6700 XTのスコアは、フルHDでも平均60fpsを下回ってしまう。WQHDでは30fps程度まで落ち込んでしまうことから、フルHD以上の解像度でのDXRの利用はそれほど現実的ではなさそうだ。いずれにせよRadeonでDXRを活用したゲームをプレイしたい場合は、より上位GPUをお勧めしたい。
●消費電力は低い GPU温度は少し高い
 ここまでベンチマークテストをしてきたシステムにおける消費電力はどうだろうか。ワットチェッカーで測ってみよう。起動後10分間何もせず放置した状態の電力値を「アイドル時」、3DMarkのTime Spy Extremeを動作させた際の最高電力値を「高負荷時」として記録した。
 アイドル時の消費電力は、どのGPUでも60Wを切る。一方で、高負荷時の電力はRX 6800 XTがダントツに高い447W、RX 6800が375Wで、RX 6700 XTの340Wが最も低い。消費電力当たりのパフォーマンスではRX 6800の優秀さが光る。ただ、前世代のカードと比べればRX 6700 XTも十分に優秀である。電源ユニットは650W〜700W前後の容量があれば十分だろう。
 今回は、GPUに負荷を掛けた際のコア温度も計測した。3DMarkのストレステスト「Time Spy Stress Test」を使って、テスト開始から20分間の温度を採用している。
 温度が最も高くなるのはRX 6800 XTで順当である。しかし、GPUパワーが最も低いはずのRX 6700 XTが2位に入ったのは意外に映る人もいるかもしれない。ピーク時のGPU温度が一番低かったのは、RX 6800である。
 今回はどのGPUもリファレンスカードを利用している。先に触れた通り、RX 6700 XTのリファレンスカードは冷却ファンが2基構成となっている。それに対してRX 6800/6800 XTは3基構成である。シンプルにいえば、RX 6800のリファレンスカードは3連ファンのおかげでよく冷えたということだ。
 もっとも、RX 6700 XTのピーク時のGPUコア温度は70度台にとどまっている。カードの寿命に悪影響を与えるような高温にはならないので、それほど気にしないで良いだろう。
●カジュアルゲーマーでも手が届く WQHDゲーミングなら十分に快適
 ここまで見てきた通り、Radeon RX 6700 XTは、フルHDからWQHDまでのゲーミングに適した性能を備えている。それでいて、現行のRadeon RX 6000シリーズで最も低価格で、十分に魅力的なGPUといえるだろう。
 ターゲットとするフルHD/WQHD解像度であれば、負荷の高いゲームから低いゲームまで、60fpsのフレームレートを確保できるポテンシャルを持ち、高リフレッシュレートディスプレイの“お供”としても最適だ。
 上位モデルが軒並み高価なため、「ミドルレンジのGPUを待っていた!」というRadeon派のユーザーにとっては、まさに“待望のモデル”と言って差し支えないだろう。

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