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ほぼ最高の折りたたみ、だけど:Galaxy Z Flip 3レビュー - ギズモード・ジャパン

そもそもスマホを折りたたむ生活に飛び込めるかどうか。

登場した頃は異端扱いだった折りたたみスマホですが、すでに第3世代に突入し、スマホの一形態として市民権を得た感があります。先日発表されたSamsung Galaxy Z Flip 3は価格も1,000ドル(約11万円)からとこなれてきました。米GizmodoのFlorence Ion記者が1週間ほど使ってレビューしてますので、以下どうぞ!


Samsung Galaxy Z Flip 3(以下Z Flip 3)は、私にとってほぼ夢のスマホです。折りたたみスマホのメリットをすべて備えつつ、そこにほぼフラッグシップ級の性能も付いてきます。それでも今私は、この折りたたみスマホの世界に飛び込んでいいのかどうか、躊躇しています。それは10年前、全身がスクリーンな携帯電話=スマートフォンという考え方をすぐに受け入れられなかったのと同じ感覚です。

でも「折りたためる電話」とは、ガラケー時代への回帰でもあります。ビデオ通話を終わらせるとき(最近もう普通の電話は少ないんで)や、Pokemon Goでレイドに失敗してゲームを中断するときでも、「スマホを閉じて終了」という動作には今までにない満足感があります。しかもZ Flip 3の柔軟性は、昔のガラケーとまったく違うものになっていてすごい。ハイエンドスマホに求める機能はすべてあり、さらにその形態上、ジーンズのポケットにもスッと入り、セルフィーも撮りやすく、水回りでもある程度は使えます。

ただし何事にも、デメリットがあります。Z Flip 3の最大の問題点は、今までと違うタイプのスマホであるがゆえに、使いこなすのに慣れが必要であることだと思います。単に折りたためるだけでしょ、と思われるかもしれませんが、形が違うことの影響は大きなものです。私自身、毎日のルーティーンを変えざるをえなくなり、タスクを素早くこなしたいときは元々使ってたスマホを取り出さなきゃいけないほどでした。とくにZ Flip 3買っちゃおうかしらと思う人なら、この点を事前に考えておくべきと思います。

Samsung Galaxy Z Flip 3

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Image: Florence Ion - Gizmodo US

これは何?:折りたたみスマホ。

価格:1,000ドル(約11万円)から。

好きなところ:いろんな使い方ができる形態、カバーディスプレイが高解像度セルフィーを撮るとき便利、全体的にフラッグシップ級の性能。

好きじゃないところ:価格帯のわりにバッテリーライフが短い、折りたたみには慣れが必要、Androidアプリ全体が最適化されてはいない。

折りたたみ時代の再来なるか

Z Flip 3は、折りたたみ電話を蘇らせようとするSamsung(サムスン)の試み・第3弾です。人目を引くデザイン、というのがサムスンのふれこみで、Snapchat上のZ Flip 3の広告でも「みんなが二度見する」と訴えてます。私自身が人にZ Flip 3を見せたときはいろんな反応があり、何人かは折りたたみの仕組みに感動してる風でしたが、他の友人は折りたたみスマホという考え方そのものに断固反対の姿勢でした。

でも折りたたみってことは、Z Flip 3の一面でしかありません。開いた状態だと、Z Flip 3は見た目も機能も普通の、たたまないスマホと同じです。背面はツヤがありますが色はマットで、メタリックじゃない車みたいな感じです。ガラスの背面は滑りやすいので、ケースなしで使う場合は落とさないよう要注意です。

Z Flip 3は全体的に楽しいデザインで、広告系の言葉なら「若々しい」と言うのかもしれません。色は7色(うち3色はオンライン限定)で、ピンクにパープル、クリーム、グリーン、ホワイト、グレー、ファントムブラックの展開。鮮やかな色の純正シリコンケースと組み合わせれば、今あるスマホの中でも一番キュートなもののひとつが完成です。これから数カ月、可愛いガジェットテーマのTikTokとかInstagramに、Z Flip 3の動画や写真があふれるんでしょうね。

Z Flip 3はサムスンの折りたたみスマホ第3世代なので、デザインを全体的に見直す時間があったと思われます。Galaxy Z Fold 3ではカメラがディスプレイ下に隠れていますが、Z Flip 3は6.7インチダイナミックAMOLEDの真ん中にパンチホールが空いてます。そのおかげで、Z Flip 3の太めのベゼルは多少なりとも細くなってます。とはいえ、折りたたみディスプレイを支えるにはそれなりの強度が必要だし、広げた状態ではディスプレイが細長いので、ベゼルが多少あったほうが持ちやすいと個人的には思ってます。

折り目は見えない、けど見える

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伸ばした状態では普通のスマホのよう。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

Z Flip 3を開いた状態では、見た目も機能も普通のスマホのようです。ポケボールを投げるのも、テキストのかたまりをタップして選択するのも、アプリを切り替えるのも、ランドスケープモードで三脚に取り付けるのも、普通に可能です。ただ1,080×2,640ピクセルのディスプレイの真ん中には、よく見るとくっきり折り目があります。でも動画を流してたりすれば、遠目にはほぼわからない程度です。120Hzの画面リフレッシュレートも、その欠点を補っています。

ディスプレイには保護フィルムが張ってあり、毎日何十回も折り曲げても傷まないように配慮されてます。とはいえ数カ月とか経っても大丈夫なのかは興味ありますが、サムスン曰く、Z Flip 3は20万回曲げ伸ばししても大丈夫だそうです。

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うっすらだけど間違いなくそこにある、折れ線。ディスプレイはどれくらい持つんでしょうか?
Image: Florence Ion – Gizmodo US

Z Flip 3を1週間ちょっと使ってみましたが、いまだにしっくり来てません。最初、爪が長いからタイプしにくいのかと思っていやいや爪を切って、これでもっと楽にマルチタスクできるかと思ったんですが、そのとき気づいたんです。問題は、今まで使えてたサードパーティのアクセサリ、PopSocketsが使えないことだって。いつの間にか、PopSocketsなしじゃスマホが使えなくなってたみたいです。

PopSocketsを初めて買ったのは初代Google Pixelのときでしたが、その後すべてのスマホケースにPopSocketsを付けてました。だからZ Flip 3を使い始めてから、自分の使い方をPopSocketsなしの状態に合わせなければなりませんでした。最初のうちは、今まで当たり前になってたよりどころがないので、Z Flip 3を大事に包み込むように持っていました。シリコンケースを使うともう少し安心して持てるようになり、背面のキーリングをPopSocketsのような感じで使えるようになりました。スマホを使うときに特定の持ち方に慣れてしまってる人は、Z Flip 3を使うとしたら最初は感覚が狂うと思います。

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開くのにはちょっと力が要ります。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

冒頭で、本体を閉じて電話を切るのが快感みたいなことを書いたんですが、Z Flip 3の場合、それを片手でやるのはちょっと難しいです。できなくはないんですが、ガラケーの軽いパカパカ感とは違ってて、最初にぐっと力を入れないと開閉できません。私は利き手でも片手で開閉するのは困難でした。そもそも私が昔使ってたパカパカする電話は、Z Flip 3よりずっと小さかったと思います。

もっと折りたたみ対応アプリを

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折りたたみUIもさることながら、折りたたみでよかった! と一番思ったのは、動画視聴のときでした。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

Z Flip 3のもうひとつの使い方は、これは私自身一番活用したんですが、画面を見やすい角度に折り曲げて、画面半分で何らかのアプリを使い、もう半分をセカンドディスプレイにすることでした。ほとんどの場合、下側のナビゲーションメニューで音量とか画面の明るさを調節しつつ、通知パネルも下に持ってくる(そうすれば曲げたディスプレイの上の方に指を持っていかなくていい)っていうセッティングです。スクリーンショットボタンも便利なんですが、これで画面を撮ると操作ボタンも入ってくるので、状況によってクロップが必要です。

AndroidアプリがみんなZ Flip 3の折りたたみに対応してるわけじゃないんですが、設定の奥深くにあるLabs機能を使うと、どんなアプリも画面半分モードにできます。これは動画を見るのにもいいし、Pluto TVやYouTube TV、Paramount+と言ったアプリで使えます。欠点は、これだとZ Flip 3のきれいなディスプレイ全体を活かせず、一部のみになってしまうことです。でも寝る前とか、飛行機での移動中(また気軽に乗れるようになったら)とかに、ちょっと何か見るってときには十分だと思います。

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細長いスクショ。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

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フリップモードで動画を見ると、下半分が操作画面になります(ちなみにこれは『Degrassi: The Next Generation』)。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

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Samsung Galleryアプリでは、画面下半分がタッチパッド兼画像カルーセルになります。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

画面2分割モードにうまくなじまないアプリもあって、そういうアプリを使ってると、今どうして3インチとか4インチのディスプレイがなくなったのかに改めて気づきました。とにかくもう、3インチ4インチじゃスペースが足りないんです。メッセージアプリとかTwitterみたいなテキストベースのSNSならまだよかったんですが、今みたいに画像ベースになってくると、画面が切り取られたような感じになります。一応の用は足せても、満足に使うには小さすぎます。

Google(グーグル)とサムスンは、Z Flip 3のなんちゃってデュアルディスプレイを活用すべく、内蔵アプリをいくつか再開発してきました。たとえばSamsung Galleryアプリでは、画面上半分は画像プレビュー、下半分はタッチパッド兼画像カルーセルとして使えます。カメラアプリも同様に、下半分がカメラ操作部、上半分がビューファインダーになります。Z Flip 3は単に折りたためるだけじゃなく、半分折った状態で固定して置けるので、しっかりフレームして撮りたいけど三脚がないってときにすごく使えます。

カバーディスプレイ最高

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Z Flip 3で気に入った機能のひとつ、カバーディスプレイ。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

背面にある1.9インチSuper AMOLEDカラーディスプレイは、個人的にすごく気に入ったZ Flip 3の機能のひとつです。先代のカバーディスプレイよりちょっと大きくなり、機能も増えました。仕事中はキーボードの前に立てておいて、時間とか通知を見やすくしてました。小さな画面なので、長い通知を見るには本体を開かなきゃいけませんが、少なくともプレビューは見られます。

カバーディスプレイをダブルタップすると、壁紙か任意の画像がシュッと立ち上がります。右にスライドすると現在の通知を確認でき、左にスライドするとZ Flip 3独自のウィジェットが見られます。私はGalaxy Watch Activeを使ってるんですが、それのウィジェットと似てます。ほとんどのウィジェットはざっくりした情報しかカバーディスプレイに出してないので、データをチラ見する以上のことをするには本体を開かなきゃいけません。

カバーディスプレイの一番いいところは、メインカメラのプレビューウィンドウになることです。つまり、Z Flip 3の光学手ブレ補正付き1200万画素カメラを使ったセルフィーを、ちゃんとプレビューしながら撮れるんです。本体を開いた状態で電源ボタンを2回押しするとカメラが立ち上がり、次に画面をタップすると2秒間のカウントダウンが始まります。髪を手直しして笑顔を作るには十分な時間です。

カメラ自体は前と同じ

Z Flip 3は先代のZ Flipと同じようなハードウェアで、おもしろい場面も日常もちゃんと撮れます。メインカメラはふたつ、1200万画素・F値1.8・位相差AFの広角レンズに、上に書いた光学手ブレ補正の付いたものがひとつ、もうひとつは1200万画素・F値2.2で、こちらは123度の超広角レンズです。

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Z Flip 3での風景写真。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

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Pixel 5で撮ったもの。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

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OnePlus 9 Proで撮ったもの。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

今回カリフォルニア州が山火事シーズンのまっただ中で、野外写真を撮るには最悪のコンディションでした。でもPixel 5やOnePlus 9 Proに対し、サムスンがカラープロファイルをどう扱ってるかはわかった気がします。とくにスモーキーな日にZ Flip 3で撮った写真は緑がかっていて、コントラストが強調されてました。サムスンは今でも彩度を高める傾向が強く、撮影した画像はよりパンチの効いたものになりがちです。Pixel 5はもっと抑えた色調で実体に近いんですが、サムスンのほうが(不自然な緑であっても)この世の終わり感は薄くなってます。一方OnePlus 9 Proは乾いた草がセピアとかゴールドっぽく写り、個人的にはこの中で一番きれいじゃないかと思いました。

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Z Flip 3での夜景。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

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Pixel 5で。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

サムスンの夜景カメラ性能は最近高まってきたんですが、Pixelと比べるとまだ改善の余地がありそうです。サムスンで撮った夜景写真は影が多いんですが、色的には実際に目で見たものに近くなっています。でもPixel 5のナイトモードは背景の環境光をうまく拾っていて、絵に深みがあります。暗い光の中での色再現も、Pixel 5のほうが美しく感じます。でもZ Flip 3はシャープネスが素晴らしく、三脚なしで撮った場合でも、拡大するとPixel 5よりクリアでした。

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Z Flip 3のメイン1200万画素カメラで撮ったセルフィー。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

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Pixel 5の前面800万画素カメラで撮ったもの。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

Z Flip 3の場合、メインカメラがセルフィーカメラにもなります。インカメラは1000万画素・F値2.4で、ビデオチャットとかInstagram動画とかで使うのによさそうです。どっちでも同じようにちゃんとセルフィーが撮れます。

パフォーマンスも去年と同じ

Z Flip 3はサムスンデバイスの中で初めて5nmのSnapdragon 888を搭載する中のひとつです。だからって最高のパフォーマンスは期待しないほうがいいですが、他のスマホに比べて劣ってるというわけでもありません。

RAMは8GBと比較的パワフルで、ゲームやアプリ、動画やポッドキャストを次々切り替えてもまったくもたつくことがありませんでした。Geekbench 5ではマルチコアのスコアが3180と、去年のOnePlus 8 Proとか、同じサムスンではフラッグシップのGalaxy S21と同等でした。

バッテリーライフは残念

バッテリーライフは、画面が大きいしリフレッシュレートは高いしで、最初から心配でした。バッテリー容量は3,300mAh、充電出力は有線が15W、無線が10W、リバースワイヤレスで4.5Wです。いろんな充電手段があるのはうれしいのですが、今どきの画面大きめスマホにしてはほんとにバッテリーが小さいんですよね…。Galaxy S21も、6.2インチスクリーンで4,000mAh積んでます。テストの結果、Z Flip 3は約11時間持って完全に力尽きました。Pixel 5の16時間と比べて短いのはさておき、Galaxy S21だって12時間は持ちました。

サムスン流Androidに慣れる必要もあり

Z Flip 3の形態に関してはまだ確信が持てない部分があり、そのほとんどはサムスンのOne UIと、彼ら流のAndroidの作り方です。メニュー構造が、私が慣れてるPixelのAndroidと違うだけじゃなく、OnePlusがAndroid 11の上で動かしてるOxygen OSとも違います。なのでサムスンのデバイスを使い慣れてない人は、Z Flip 3で動いてるOSがサムスンバージョンのAndroidであることを理解しといたほうがいいと思います。折りたたみスマホに関しては、Googleもサムスンに緊密に協力してはいるのですけどね。

少なくともサムスンは、3年間のメジャーソフトウェアアップデートを保証していて、それはGoogle Pixelと同等です。でも今までを振り返ると、GoogleがPixel用にアップデートを出してから、少し遅れてサムスン用アップデートが出回るという順番になってます。

折りたたみライフに飛び込めますか?

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折りたたみスマホ、という形にコミットが必要。
Image: Florence Ion – Gizmodo US

Z Flip 3を手に取るたびに、自分は毎日この形態のデバイスを朝から晩まで目にし、手にしていけるのかな? と思います。正直まだ決めかねてるところです。Z Flip 3にはよいところもたくさんありますが、折りたためるっていう事実は、新しい使い方への重大なコミットメントです。写真を撮るだけでも、本体を開いてレンズを向けて、と若干の時間がかかります。画面が細長いので、片手で何のアクセサリもなく扱うのは難しいです。バッテリーライフにも妥協が必要で、時間とともに限界を感じることが出てきそうです。

それでも折りたたみ体験に興味があってやってみたいって人には、価格的には多少よいところがあります。Z Flip 3は1,000ドル(約11万円)からですが、ディスカウントを活用すれば(訳注:米国では)500ドル(約5万5000円)くらいで買える場合もあります。ミッドレンジのPixel 5aに50ドル足すだけです。

とはいえ、仮にミッドレンジ並みの価格で買えるとしても、今までの折りたたまないスマホ体験を手放せるのかどうか。じっくり自問してから決めたほうがいいと思います。

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