みなさん、最近スマートフォンのバッテリー持ちが悪くなったと思うことはありますか? 長年同じスマートフォンを使い続けるとなんとなくバッテリー持ちが悪化しているように感じますよね。
ちなみに調査会社のMMD研究所が行ったアンケートによりますと、スマートフォンで最も重視されるものは「バッテリー持ち」とのこと。このことからもスマートフォンにおいて、バッテリーがいかに重要視されているかがわかります。
そんなわけで今回は、スマートフォンを使うにあたってバッテリー性能を悪化させないポイントは何か? バッテリー劣化のメカニズムとともにご紹介していきます。
バッテリー劣化の主な原因は「熱」
早速ですが、スマートフォンで主に使われているリチウムイオン電池の最大の敵は熱です。
リチウムイオン電池はアノード(負極)にグラファイト(炭素の層状結晶)が使われており、このアノードが高温状態になるとリチウムイオンと反応を起こして表面に不動態皮膜を形成し、移動できるリチウムイオンが減少、すなわちバッテリー容量が減少してしまいます。これは化学反応ですので、温度が高ければ高いほど進みやすくなります。そのため、リチウムイオン電池は高温状態が続くと劣化しやすいわけです。
リチウムイオン電池の最も効率がいい温度帯は10-40℃です。40℃を超えるとバッテリーサイクル効率が落ち始め、50℃を超えると劣化がしやすいと言われています。
上図は科学技術振興機構が行った実験で、50%充電した状態でリチウムイオン電池を放置した結果です。25℃、40℃では劣化が少なかったものの、60℃の場合は大きく劣化していることがわかります。
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充電率が高いとバッテリーは劣化しやすい
また、バッテリー劣化の原因はアノードのグラファイトとリチウムイオンの反応であるため、アノードにリチウムイオンが豊富にある状態、つまり満充電時のほうが劣化が起きやすい傾向にあります。
先と同じく科学技術振興機構が行った実験結果によりますと、充電率が高い状態のほうがリチウムイオン電池は劣化しやすいことがわかります。特に満充電時(図中ではSOC100%)は劣化の速度が非常に早いです。
多くのスマホで80%〜90%あたりから充電速度が落ちるのは充電率が高い状態で発熱しないようにするためです。よく考えられていますね。
バッテリーの寿命を延ばす具体的な方法
以上を踏まえると、リチウムイオン電池は熱を防ぐことと満充電時にし続けないことが大事だということがわかります。特に、ダブルアタックとなる充電時の発熱には気をつける必要があります。
例えば、
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スマホを充電しながら動画視聴/3Dゲームなどの高負荷な作業をする
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スマホを充電しながらナビを起動した状態で車内の高温なダッシュボードに置く
といったことはバッテリーにとっては非常に辛い状態であり、劣化の起因になるということです。
スマホのバッテリー劣化を防ぐためには、真夏の直射日光下やお風呂などの高温環境ではできるだけ使わない、充電時、特に80%以上になったときはできるだけスマホを使わない(重めのゲームはもってのほか!)、暑い環境で充電しっぱなしにしない、長期間使わないときは充電率50%程度に留めて25℃ぐらいの環境で保管する、といった対策が有効です。
なお、これらの対策はあくまで劣化を防ぐものであってバッテリー持ちが改善されるものではないことには留意してください。
また、iPhoneであれば状況によって80%以上の充電を保留するバッテリー充電の最適化、Xperiaであればゲーム利用時はバッテリーを介さずに直接本体に給電されるソニーのHSパワーコントロール、AQUOSであれば90%以上になると本体への直接給電になるシャープのインテリジェントチャージ、といったようにメーカーごとに専用のバッテリー保護設定があります。これらもバッテリーの劣化を防ぐ有効的な手段ですので是非活用してみてください。
※本記事はスマホやパソコン、電気自動車などに搭載されているリチウムイオン電池の話です。充電式乾電池に使われるニッケル水素電池や一般的な車に使われる鉛蓄電池などでは使われる素材が異なりますのでご注意ください。
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