DMM GAMESより2021年8月26日に発売される、プレイステーション4/Xbox One(※)/PC(DMM GAME PLAYER)用サバイバルホラーアドベンチャー『ソング オブ ホラー』。そのプレイレビューをお届けする。
※Xbox One版の発売日は未定。
※『ソング オブ ホラー』メディア向け体験会リポート記事はこちら
『Song of Horror(ソング オブ ホラー)』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)本作は、著名な小説家が家族とともに行方不明になった事件をきっかけに、複数のキャラクターが調査に乗り出す三人称視点のホラーアドベンチャー。探索するエリアには不気味な怪異が潜んでおり、プレイヤーはその脅威を避けながら謎を解明していく。
まもなくの発売を前に製品版をプレイする機会が得られたので、本作の手触りをレビューしていこう。なお、遊んだのはプレイステーション4版となる。
一連の失踪事件を引き金に“闇”への扉が開く……
本作のストーリーは、ダニエルという男の視点で描かれる序曲から開始。出版社に務めるダニエルは、ある日の仕事帰り、上司から一本の電話を受ける。それは、出版社お抱えの歴史小説家セバスチャン・P・ハッシャーが音信不通になったので、自宅まで様子を見に行ってほしいというものだった。
小間使いにされていることに不満を感じつつも、ダニエルはハッシャーの邸宅に向かう。それが、彼の運命を狂わせるとも知らずに……。
ハッシャー宅に着いたところで、アドベンチャーパートが本格的にスタート。キャラクターが訪れるエリアには、さまざまな場所に調べられるポイントがあり、アイテムや情報を集めながら先に進むことになる。
また、各キャラクターは懐中電灯やライターといった暗闇を照らす手段を持っており、暗い場所はそれらの光源を用いて調査していく。
懐中電灯を手にハッシャー宅を調べるものの、謎ばかり深まっていくダニエル。やがて彼は、家の中に不気味なドアを発見し、その先に進んだ末に戻ってくることは叶わなくなってしまう。
あくまで序曲なので、プレイはあっという間に終わってしまったが、雰囲気作りはこの時点でもバッチリ。この先に待ち受ける物語と恐怖に自然と期待が高まり、ゲームの導入としては申し分ない出来だった。
コンティニューなんて許さない! 死亡したキャラクターは永久退場!!
ダニエル視点の序曲が終わるとひとつ目のエピソードが始まり、複数のキャラクターの中から操作する人物を選ぶことになる。エピソードIではソフィー、エティエンヌ、アレクサンダー、アリーナの4名が対象キャラクターに。
どのキャラクターを選んでも探索するエリアは共通(エピソードIではハッシャー邸)だが、それぞれが独自の視点で調査を行い、見つけるアイテムや手掛かりも異なるのが本作のおもしろいところ。
オブジェクトを調べたときの反応もバラバラで、たとえばダニエルを探しにきたソフィーとハッシャー家の使用人であるアレクサンダーでは、まったく違うモノの見かたがうかがえる。筆者は初プレイはソフィーを選んだが、ぜひ全キャラクターの展開を見てみたいところ。
そして、キャラクターに関する本作最大の特徴が“パーマデス(永久死)”。ホラーゲームにおいて、敵対象にやられて操作キャラクターが死亡するという仕様はごくふつうだが、本作ではその際にコンティニューなどで生き返ることができない。文字通り、永久死である。
探索中、後述する“それ”に捕まると一発で死亡し、その瞬間に操作キャラクターの物語は幕を閉じる。筆者は途中までわりと緩い気分でプレイしていたが、不注意な行動でソフィーが死亡し、そのあまりにもあっけない幕切れにしばらく茫然としてしまった。
キャラクターが死亡すると、別のキャラクターを選んで調査を続けることになる。それまでに入手したアイテムや情報は道中で拾うことができ、状況を引き継ぐぶんには問題ないのだが、やはり喪失感がすさまじい……。なお、全キャラクターが死亡するとエピソードの最初からやり直しになる。
ちなみに、パーマデスは難易度変更でオフにすることも可能なので、ホラーゲーム初心者でとにかく物語を楽しみたいという人もご安心を。ただ、このパーマデス含めて『ソング オブ ホラー』という作品が成り立っていると感じるので、まずは通常難易度でプレイしてみることを推奨したい。
いつでもどこでもつきまとう“それ”の恐怖
本作のホラー要素の目玉となるのが、“それ”と呼ばれる存在。名もなき闇の怪異である“それ”は、探索エリアに常に潜んでおり、いつプレイヤーに襲いかかってくるかわからない。
“それ”に捕まれば一瞬でゲームオーバーなので、プレイヤーは常に警戒し、近づいてきたら迅速に身を隠し、ときには全力で撃退しなければならない。本作には、“それ”の対処法が下記のように豊富に用意されており、サバイバルホラーを大いに盛り上げてくれる。
ドアに聞き耳を立てる
“それ”に遭遇しないための初歩的な対処法。ドアの前に立つと△ボタン長押しで聞き耳を立てられる場合があり、ドアの先に“それ”がいると怪しい音で判別できる。一度通ったドアでも、聞き耳アイコンが表示されたら念のため確認したほうが安全だ。
通せんぼで押し返す
“それ”がドアを押し破ろうとしてきた場合、全力で押し返す必要がある。具体的には○ボタン連打で力をため、十分パワーが蓄積されたらR2ボタンで押し返す……という行動をくり返す。力負け=死なので、とても手に汗握る通せんぼとなっている。
命がけのかくれんぼ
探索中に突然“それ”が近づいてくることがあり、その際はまずクローゼットの中やテーブルの下などに身を潜めなくてはならない。それだけでは危機は去らず、今度はパニックにならないよう鼓動に合わせてL2+R2ボタンを押して精神を落ち着かせる必要もある。このかくれんぼはとくにスリル満点で、個人的にお気に入りのシステムだ。
このように“それ”の脅威はいつでもつきまとい、プレイ中はつねに緊張感に満ちた恐怖体験が味わえる。“それ”ははっきりとした姿で現れるわけではなく、“見えないけど確かにそこにいる”というなんとも嫌らしい怖さを与えてくるのが特徴だ。
遊びごたえありの謎解き要素
ストーリーを先に進めるには、手に入れたアイテムやドキュメントを駆使して、さまざまな謎を解いていくことになる。この謎解き要素がかなり練り込まれており、簡単に答えがわかるものもあれば、だいぶ頭をひねらないといけないものもあって遊びごたえ満点。
謎を解くにはエリア内の怪しい場所を調べることはもちろん、入手したアイテムやドキュメントを回転させて調べることも必要で、気分はさながら探偵のようだった。ゲーム内ヒントは最低限に絞られているので、クリアーには入念な調査と柔軟な思考が求められるという印象だ。
アイテムを使えば即座に道が開ける場面もあれば、集めたアイテムや情報をもとにダイヤル式金庫を開けたり、ヒューズを配置したりといったギミックも存在。豊富な遊びが用意されているおかげで、一辺倒にならないプレイが楽しめる。
“それ”に焦点を当てたホラー体験と、本格的な謎解きが融合した『ソング オブ ホラー』。派手なクリーチャーが出るわけでもないが、背筋をジワジワと這い上がるような静かな恐怖感があり、和風ホラーに通ずるものがあると感じた。
おそらく日本人好みのホラーゲームだと思うので、ホラー好きな人はこの夏の締めにぜひ満喫してもらいたい。
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