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5.25インチMOからの置き換えを狙った「Ultra Density Optical」(UDO):スイートメモリーズ File068 - Engadget日本版

[名称] Ultra Density Optical(UDO、UDO2)
[種類] 光ディスク(405nm)
[記録方法] 相変化記録(追記型、書換型)
[サイズ] 130mm
[容量] 30GB、60GB
[登場年] 2004年頃~

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

連載:スイートメモリーズ

「Ultra Density Optical」(UDO)は、ソニーによって規格案が発表され、Plasmonなどが開発した光ディスク。5.25インチMOの後継として開発され、両面で約30GB(後のUDO2で60GB)と、MOの3倍以上もの容量を持つのが特徴です。

MOでは光と磁気で書き込み、書き換えを行なっていましたが、UDOでは光のみで行える相変化記録へと変更。また、使用するレーザー光の波長を660nmから405nm(青紫レーザー)へと短くすることで、記録密度を向上させています。

このあたりで勘のいい人は気づいたかと思いますが、技術としてはBlu-ray Disc RewritableHD DVD-RWなどに近いものとなっています。

といっても、MOの後継を目指していただけあって、カートリッジの形状は5.25インチMOと互換性のあるものを採用。調べた範囲では明記されているものはなかったのですが、少なくとも、従来MO(たぶん9.1GB)の読み出しには対応していたようです。HPから発売されたUDOを採用したストレージ製品のリリースには、

5.25インチMOとUDOの混在が可能なため、既にMOを利用しているお客様の投資を保護しながら最新テクノロジへの移行を促進します。

と書かれていました。

ということで、カートリッジを見ていきましょう。

カートリッジにA面、B面があるというのは5.25インチMOと同じ。幅や奥行き、高さはもちろんのこと、スライドするシャッターの位置、下部の凹みやライトプロテクト用のスイッチ部分までそっくりです。

メディアの種類は1度だけ書き込めるWORM(Write Once Read Many)、何度も書き換え可能なRW(Rewritable)の2種類。WORMはRWと物理的に異なる素材が使用されており、同じ相変化記録でも、消去や書き換えはできません。

ちなみにこの写真はシャッター部分に書かれている通り、WRITE ONCE……つまりWORMです

先ほど形状は5.25インチMOとそっくりと言いましたが、実は違う部分もあります。それがシャッターの構造。MOのシャッターはA/B面の区別がなく、一体化されているものでした。そのため、シャッターを開くにはA面の場合は左、B面の場合は右へとスライドさせる必要があります。

これに対してUDOは、上の写真のようにA面とB面とでそれぞれ独立。どちらの面を使うにしても、左へとスライドさせれば開くようになりました。

シャッターを開いて中のディスクを見ると、2枚のディスクが貼り合わせてあるような構造となっています。また、ディスクの厚みは2.4mmで、BDやHD DVDと比べると分厚くなっています。この内部のディスクの構成も、5.25インチMOから継承している部分だといえるでしょう。

当初はソニーが規格を発表し、開発も行なっていたのですが、発売前に撤退。5.25インチMOの製造・販売を行っていたPlasmonが中心となり、製品化を実現しました。メディアの販売元はPlasmonだけでなく、エンタープライズ製品でストレージとしてUDOを扱っていたHP、IBMなどがありますが、基本的にはOEM。実際に製造していたのは、三菱化学メディアでした。

UDOはエンタープライズ製品ということで一般への知名度は低いですが、50年以上の長期保存が可能というメリットがあり、MOと同様、データ保管用途としては優れていました。単純なバックアップ容量ではテープメディアに敵いませんが、それなりのランダムアクセス性能と長期保存性、従来のMO用ジュークボックスを流用した開発ができる点を考えれば、使い勝手は悪くなかったと思います。

とはいえ、あまり需要はなかったようで、Plasmonは60GBとなる第2世代のUDO2を2007年に投入したものの、2008年には資金不足で閉鎖となってしまいました。その後、Alliance Storage Technologiesが資産を取得し、UDOを引き継いでいます。

一方、撤退したソニーは何をしていたかといえば、Blu-ray Discをベースとしたストレージ「プロフェッショナルディスク」の開発です。こちらのメディアについては、別の機会に紹介します。

連載:スイートメモリーズ

参考:

「5.25インチUDO(ユーディーオー:Ultra Density Optical)規格(案)」を策定, Sony
High Density Phase Change Recording for Second Generation Ultra Density Optical, Plasmon
ECMA-350(UDO), ECMA
ECMA-380(UDO2), ECMA
青色レーザーを使用した30GBの大容量光ディスクUDO(Ultra Density Optical)ディスクの製造・販売について, 三菱化学メディア, WaybackMachine
次世代光ディスク規格「UDO」を採用した大容量アーカイブ・ストレージを発表, HP, WaybackMachine
コニカミノルタオプト(株)UDO(Ultra Density Optical)のドライブ事業に本格参入, コニカミノルタ
UDO, Alliance Storage Technologies
Ultra Density Optical, Wikipedia

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