異なる道を歩んだ姉妹惑星
筆者の父である電波天文学者のフランク・ドレイクによると、1960年代の教科書には、金星は熱帯のジャングルのような惑星だと書かれていたそうだ。「それはもっともな推論だった。金星は太陽に近く、雲があり、地球によく似ていると考えられていたからね」 しかし、1961年に電波望遠鏡で金星を観測した父は、金星の地表は熱帯どころか300℃以上の灼熱地獄であると推定し、長い1日(地球時間で243日)の間にほとんど温度が変わらないことから、その大気が非常に厚いことに気づいた。 今では、地球と金星はどちらも丸い形をしていて、同じくらいの大きさで、基本的な組成が近いこと以外は、似ても似つかない惑星であることがわかっている。 地球が温暖で水に恵まれているのに対し、金星は乾燥した灼熱地獄だ。金星の表面温度は平均460℃で、カラカラに乾いた表面には水ではなく溶岩が流れた痕跡があり、表面気圧は地球の約90倍だ。これは水深約900mの海中の水圧と同じである。 地球の空では雲は生まれては消えていくが、金星の空は常に曇っている。厚さ70kmにもなる雲が垂れ込め、日差しはほとんど届かない。大気の上層部では強風が吹き荒れ、分厚い大気が金星の周りをぐるぐると回転している。 金星が常に地獄のような惑星だったのかどうかは、科学者たちが今後10年間で解決したいと考えている主要な問題の1つだ。
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