レースゲームという枠組みを遥かに越えて、クルマ文化そのものを体験させてくれる唯一無二のリアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモ」シリーズ。その最新作「グランツーリスモ7」の発売日である3月4日まで、いよいよ残り1カ月となる。ソニー・インタラクティブエンタテインメントより、プレイステーション 5/プレイステーション 4にてリリース予定だ。
1997年12月に発売された初代「グランツーリスモ」の登場より、その25周年を記念する作品として制作された最新作「グランツーリスモ7」はシリーズの集大成として、長きにわたるシリーズのファンだけでなく、クルマをよく知らない初心者にも、クルマ文化のすべてを伝えられるようデザインされた最大規模の作品となる。今回、「グランツーリスモ」シリーズのクリエイター・プロデューサーを務める山内一典氏が主催するデジタルメディアイベントが2日間に渡って開催され、遂にゲームの全貌が明らかにされた。
初日に実施されたゲームプレイや新機能に関するプレゼンテーションと、本日2月3日に配信された特別番組「State of Play」の先行公開という盛りだくさんのイベントの、最後に用意されたのは全世界のメディアが一堂に会してのオンラインQ&Aセッション。本稿ではこちらの模様をお届けする。Q&Aセッションは司会者が英語で読み上げた質問を、通訳を介して山内氏が答えていくという形で実施。オンライン、そして限られた時間の中でということもあり、すべてを聞けたとは言いがたいが、本作でフィーチャーされている音楽の重要性やクルマ文化を伝えていくことの責任感といった、最新作「グランツーリスモ7」にかける山内氏の想いをお話しいただいた。こちらもぜひお楽しみいただきたい。
没入感とは「リアリティ」。僕らが感じているリアルそのものにどれだけ近づけるか
――山内さん。先に何かお言葉を頂けますか。
山内氏: はい。そうですね。「グランツーリスモ」のローンチのときには、いつもローンチイベントがあって、メディアの皆さんの前で新しいタイトルについてお話をして。そのメディアの皆さんの中にはもう長年「グランツーリスモ」をウォッチしてくださっているような、ジャーナリストさんの方もいらっしゃってね。今回そういう機会が持てないのはすごく残念なんですけれども、まあでもこういう形で何にせよ、僕らが作っている最新のタイトルについて、プレゼンテーションをして、皆さんとQ&Aセッションが設けられたことについては感謝しています。
――最初の質問です。「グランツーリスモ」というのはシリーズの最初の作品からずっと“没入感”にすごく手間をかけているシリーズですが、今回の「グランツーリスモ7」でよりリアルに、より没入感を走りから得るためにどういったことをしたのでしょうか。
山内氏: 没入感を得る仕組みっていうのは普段、僕らが感じているリアルそのものにどれだけ近づけるかってことなんですよね。それが「リアリティ」ということですけれども。「グランツーリスモ7」では当然、そのグラフィックス、レイトレーシングをはじめとするグラフィックスのクオリティを、本当にリアリティを高める方向で使う。あるいはサウンドに関しても、ものすごく愚直に、ストレートにより良いサウンドをレコーディングし、より良いサウンドを作っていくことだったり。
あるいは今回、PS5ではハプティックのデバイスがありますから、音と本当に振動の間の領域というものの表現ができるようになったので、そこをきちんと、これもシミュレーションベースで表現する。そういった小さいなことの積み上げが没入感につながっているんじゃないかと思います。
――PS5のフィーチャーにおいて、「グランツーリスモ7」で1番重要だと思うものはどういった部分でしょうか。
山内氏: これは恐らく、どのPS5タイトルを作っている方も同じことを言うじゃないかと思いますけれども、やっぱり“ローディングスピードの速さ”ですよね。特にレースゲームって、ワールドのデータをとにかく1度に全部読んできて、それでレースが始まるもんですから、ブロック、ブロックごとに、例えば外部のストレージからデータを読むってことができないんですよね。
だから本当に巨大なデータを、外部のストレージからメモリー上にもってきて動かすのがレースゲームなんですけれども。ですから、PS5でやると数秒程度で済むローディング時間が、PS4でやるとより時間がかかったりするので、その差はプレイ体験としてものすごく大きいですね。うん。
――「DualSense ワイヤレスコントローラー」の使い方について、もう少し詳しく知りたいです。例えば、DualSenseのスピーカーからエンジンの音の一部が聞こえてくるとか、そういったことはないでしょうか。
山内氏: はい。DualSenseは基本的にやっぱり、どうでしょうね、振動数でいうと100Hzを超えるところはあまり使わないようにしていて、というのは音になっちゃうからなんですけれども。むしろ、その音ではない音以前の振動というのかな、そのあたりを中心に使っています。だから、パプティックのスピーカーから音が出るっていうことは、基本的にはないですね。
AIって本当に、永遠に終わることのない進化が求められているところなんです
――「グランツーリスモ7」では、もっと“普通車”みたいなものがたくさん収録されていくのでしょうか。「グランツーリスモSPORT」というのは割とスポーツカーがメインでした。これを聞く理由はキャンペーンモードでもっと進化があって、ユーザーのコレクションが“アフォーダブル”なクルマから「ビジョン グランツーリスモ」のようなクルマまで、幅広くなっていくのかなと思っていたので。
山内氏: 幅は今でも広いんですれども、それで十分だと思っているわけではなくて。例えば、エントリーモデルのクルマたちをもっと増やしたいとか、そういうことは必要だろうと思っていますね。あと、今回「グランツーリスモ7」でチューニングが相当本格的にできるので、なんて言うんでしょうね、例えばビートル、フォルクスワーゲンの「ビートル」をね、911(「ポルシェ 911」)並みに速くするみたいなビデオを作りましたけども、そういったことが可能になっていますから、かなり幅広いクルマたちでレースができるんじゃないかなと思っています。
今回、シミュレーションベースのパフォーマンスポイント(PP)という仕組みを入れたっていうことが、1つチューニングの大きなポイントだった、というふうにプレゼンテーションで申し上げたんですけれども。パフォーマンスポイントっていう仕組みは言ってみれば、そのためにあるわけですよね。ものすごく最初から速いクルマもあれば、決して速くはないクルマたちが、例えばチューニングした結果、あるパフォーマンスポイントで揃う。この2台はレースをすることができる。そういう仕組みですよね。
――チューニングが今回また大きく邁進したような感じがしていて、すごく複雑なチューニングだったり、設定が可能となっていますが、そういったセッティングデータを「ショーケース」か、または違う形で他のプレーヤーと共有したりすることもできるのでしょうか。
山内氏: 「ショーケース」でセッティングデータそのものを共有することはできないんですけれども、今回セッティングスクリーンって割と緻密な情報がびっしり入ったようなスクリーンで構成されていて、何枚かの画面キャプチャーを撮れば、それを例えば他のプレーヤーにシェアしたりとかっていうことは、できるように一応配慮してデザインはしています。
セッティングデータを簡単にシェアできない理由っていくつかあるんですけれども、結局それぞれのクルマに対してどんなチューニングパーツがついているのか、どんなエアロパーツがついているのかっていうことはプレーヤーごとに違いますよね。ですから、あるセッティングデータを別のクルマにアプライしたときに、色々な不整合が生じてしまうのでそれができないんですね。
――「中古車ディーラー」のシステムというのは、これまでの「グランツーリスモ」のシリーズ作品のようにランダムにローテーションでクルマが変わって、そこからプレーヤーが選べるようになるのでしょうか。
山内氏: そうですね。毎日、これぐらいのラインナップが中古車にラインナップされているとすると、そのごく一部ずつが毎日入れ替わっていく。ちょっとずつ、ちょっとずつ入れ替わっていく感じになります。
――400台以上収録されたクルマのサウンドはどういう風に収録したんでしょうか。
山内氏: はい。僕らは「GT SPORT」の開発の頃からですね、ノースアメリカとドイツとUKにサウンドレコーディングのスタジオがあって、そのスタジオは無響室になっていて、真ん中にダイノパック(ダイナパック、パワー測定器)があるんですね。それはハブに直結する方式のダイノなんですけど、それでサウンドのレコーディングをしています。これは相当手間のかかる作業ですね。そこにクルマを運び込んだりということも含めて。
――「グランツーリスモ7」のAIはどういう風に進化したのでしょうか。
山内氏: そうですね。AIって本当に、永遠に終わることのない進化が求められているところなんですけれども。以前の「GT SPORT」と比べるとですね。よりアグレッシブに、人間のラップタイムに近づくような走りができるようになったということと、複雑なシチュエーションにおいて“より的確な”、この“的確な”っていう内容はすごく様々ですけれども、的確な行動ができるようになったこと、ユーザーと競り合うこと、あるいはユーザーに不快な思いをさせないこと、色々な要件がありますけれども。そういった細かい部分で進化しています。でも、これがパーフェクトだとは全く思っていないですけどね。
――難易度設定についてもう少し説明をお願いできますか。初心者向けには色々調整されているとはお聞きしていますが、ハードコアなレーサーにはどういったことが考慮されていますか。
山内氏: 今回、ゲームをスタートするときに初級、中級、上級を選べます。デフォルトは中級になっていますけれども、恐らくこれまでシリーズを遊んできた方にとっては、中級だと物足りないかなという感じはしています。そういった方は上級を選んでいただければいいかなと思います。
時間・天候変化がクルマのフィジックスと連動するようになった。そこはすごく大きい
――これまでの「グランツーリスモ」シリーズにも時間変化・天候変化が入っていました。「グランツーリスモSPORT」では限定的な形(レース前に環境を設定する形)で登場していましたが、今回の「グランツーリスモ7」ではどういう形で導入されたのでしょうか。
山内氏: はい。ちょっと細かくなるんですけれども、まず時間変化、朝から夜までの変化というのは全てのコースでします。でも、夜から朝までっていうのは一部のトラックだけがサポートしています。例えば、24時間レースが行なわれる「ル・マン(サルト・サーキット)」とか、「スパ(スパ・フランコルシャン)」とか、「デイトナ(デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ)」とか、そういうコースですね。まあ「ニュルブルクリンク」もそうですね。天候の変化の方は、晴れから曇りまでの変化というのは全てのコースでします。ただ、雨が降るトラックというのは限定的です。
あと、ウェザーについて話しておいた方がいいかな。今回の時間・天候変化の、僕らにとっての1番のチャレンジというのは、それを単なるビジュアルなエフェクトではなくて、完全にフィジックスシミュレーションベースでやるってことだったんですね。ウェザーシミュレーションにせよ。しかもそれがちゃんとトラックを走っているクルマのフィジックスにも相互作用して、例えば路面温度が下がってきたとか、路面が濡れてきたとか、あるいは乾いてきたとか、そういったことがきちんとフィジックスと連動するようになった。そこはすごく大きいと思います。そこは大きなチャレンジでしたね。
――私も星が大好きな人間なんですが、各惑星のポジションだったり、夜空を再現するデータというのはどういうところから集めて、どういうふうに再現したのでしょうか。
山内氏: はい。基本はNASAが公開しているデータを使っています。いわゆる天文学的にアカデミックなシミュレーションを行なって、惑星の位置であったり、月の位置であったり、あるいは太陽の位置であったりというものをレンダリングしています。ですから、通常のレースの、夜のレースとかでね、見える星っていうのは明るい星、1等星とか0等星以下の星だけですけれども、例えばフォトモードに入って、シャッタースピードを遅くしていくと、本当に天の川が見えてきますから、そういった楽しみ方もできるんじゃないかなと思います。
「GTカフェ」はシステムを理解するところまでの道標。クルマに関わった人と接する場所
――「カフェ(グランツーリスモカフェ、GTカフェ)」の構造は、キャンペーンをどういう風に手助けするような形式になっているのでしょうか。
山内氏: そうですね。「グランツーリスモ」って非常に巨大なタイトルなので、基本的には「グランツーリスモ」の色々なシステムを理解すると、プレーヤー自らが遊び方を見つけて、何年でも遊んでいられるようなタイトルなんですね。恐らく1年経ってから気づくような、そういう機能なんかも「GT7」には入っていると思いますけれども、それがあまりにも巨大で複雑なので、「カフェ」は言ってみれば、そこにシステムを理解するところまでの道標として機能することになります。
「カフェ」でメニューブックをもらって、次の目標を指し示される。それはそんなに難易度の高い目標ではありませんけれども、でもそれを順番にやっていくことで最終的には「グランツーリスモ」の世界で何ができるのか、ということを理解できるようになる。そういうことですね。
あともう1つ、すごく大事な機能が「カフェ」にはあって。例えばプレーヤーがコレクションしたクルマについての解説をね、その都度「カフェ」のマスターから聞けるんですけれども。それに加えて、例えばそのクルマをデザインしたデザイナーであるとか、エンジニアであるとか、そういった人たちがその「カフェ」に現われて、そのクルマについて話してくれる。これはどういうことかというと、やっぱりそれもまたクルマの文化の1つなんですよね。
「グランツーリスモSPORT」から「ミュージアム」っていうセクションが加わって、各マニュファクチャラーのミュージアムが入ってますけれども。それと同じように「グランツーリスモ」の中に、そのクルマ、あるクルマに関わった人が登場する。そういうことがすごく今後の「グランツーリスモ」にとっても重要だと思っています。だからクルマが入っているだけではなくて、そのクルマを作った人、デザインした人っていうのも、今後どんどん増えていくっていうのが「グランツーリスモ7」の世界ですね。
「ミュージックラリー」の最大の目的は音楽そのものを楽しんでほしいということ
――「グランツーリスモ7」の「ミュージックラリー」は、他のレースゲームにあるようなチェックポイントモードとはどう違うのでしょうか。速く走るモード、それがフォーカスではないという話をされていましたが、できるだけ距離を走らなくてはいけないのに、速く走らなくてもいいというのは相反しているような感じがしました。
山内氏: そうですね。「ミュージックラリー」の最大の目的は、1つは音楽そのものを楽しんでほしいということです。あともう1つは初めて「グランツーリスモ」をプレイするような、これまでレースゲームを一切やったことがないような、子供が遊んでも楽しめるようなものにしたかった。
あの「ミュージックラリー」って、最初にビートを持っていて、エクステンドゲートを通過するごとにビートが加算されていくんですよね。でもそれはビートであって“別に秒が加算されるわけじゃないんですね”。だからBPM(テンポ)が早い曲というのはビートの消費も早いですし、BPMの遅い曲というのはビートの消費も遅い。曲の途中でBPMが変わるような場合にはビートの消費が早いときもあれば、遅いときもある。だからやっぱり、あの「ミュージックラリー」というものは音楽っていうものが基本にあって、音楽を聞きながらドライブを楽しむ。
で、じゃあなんで距離を表示するかっていうと、それでもすごくうまい人たちの中には競争したい人がいますよね。フレンドランキングとかで。そういう人たちがフレンドランキングで競争できるように「到達距離」っていうものも表示しているんですね。
だからすごく上手なプレーヤーにとってはね。ビートを余らせてフィニッシュすることはできると思うので、例えばその自分のプレイの中で、ちょっとここでドリフトしてみようかなとか、ここでスリーシックスティ(360)をしようかなとか、そういうこともね、やって僕はいいと思うんですよ。その上で、それが「ミュージックリプレイ」で再生されますから、そういった遊び方も「ミュージックラリー」はできるんじゃないかなと思います。
――「グランツーリスモ」シリーズでは、音楽は常に割と重要な要素ではあったと思いますが、今回、これほどまで音楽にまた注目したのはどういった目的があるのでしょうか。
山内氏: そうですね。いずれ音楽というピースをね、もっとこれまでとは違った形で「グランツーリスモ」に“インテグレート”したいという想いはずっと以前からあったんです。この5年間ぐらいとは思いますけど、本当に毎日このポリフォニー・デジタルのスタジオの、サウンドルームがあるわけですけれども、そこに僕を含め何人かのスタッフで毎日集まっては、夕方から夜にかけてピアノを弾いたり、楽器を演奏したり、色んなことをやってたんですね。そんな中で、今回の例えば「ミュージックリプレイ」だったり、そういったアイデアが出てきて、それをきちんと「グランツーリスモ」のシステムの中に“インテグレート”することに成功したわけですけれども、そうですね。それには5年ぐらいの時間が必要だったという感じがしますね。
素敵なものはきちんと若い世代に伝えたい。僕はクルマが大好きですからね
――クルマカルチャーへの興味が失われつつあって、特に若い世代の興味が失われつつあるという話をされていましたが、彼らの心にどういったものを、山内さんは植え付けたいとお考えでしょうか。
山内氏: そうですね。クルマが素敵な存在であるっていうこと。クルマが、人類が生み出した様々な工業製品の中でもね、とりわけある種の生命性があって美しいものであるっていうのは、今でもたぶん変わっていないんですよね。それを伝える“よい機会”になりたい、というふうに思っています。
――「グランツーリスモ7」はクルマのカルチャーと歴史も、レースと同等の重要度で表現されている感じがしますが、すごくクルマへの情熱が感じ取られる形になっています。そういった意味では、山内さんにとって自分の心に近いというか、そういったタイトルなんでしょうか。
山内氏: そうですね。やっぱり僕はそのなんて言うのかな。素敵なものはきちんと若い世代に伝えたいと思っていて、僕はクルマが大好きですからね。それはあるいはクルマの産業に携わっている方々ともたくさんお会いして、もちろんレーシングドライバーだとか。そういった方々とお会いして、やっぱりこういう文化・歴史というものをね、きちんと次の世代に引き継いでいかなければいけないっていう責任感みたいものはすごく感じてますよね。
――「グランツーリスモ7」は、オンラインに接続していないと遊べないというふうに聞いていますが、その理由はなんでしょうか。
山内氏: はい。1つはですね。ゲームシステム全体が、例えば「ショーケース」であるとか、あるいはオンラインコンペティション、オンラインマルチプレーヤーであるとか、オンラインでないとできないものがたくさんあるっていうことと、あとやっぱりセーブデータのチート対策をするときに、オンライン側にセーブデータがないとそれは防げないので、そういう仕様になっています。
――ゲームのマルチプレーヤー部分は「グランツーリスモSPORT」と同じくらい幅広いものになるのでしょうか。
山内氏: はい。オンラインマルチプレイに関しては「GT SPORT」と同等ですね。「グランツーリスモ7」に関して言うと。
――「ミーティングプレイス(オンラインマルチプレイモードの1つ)」についてお聞きします。「ミーティングプレイス」というのは、世界のどこからでも人々が出会うことができるのでしょうか。
山内氏: はい。「ミーティングプレイス」とは何かということなんですけれども。「ミーティングプレイス」というのはグローバルに、各リージョンごとに分かれているわけではなくて、例えば「ニュルブルクリンク」なら「ニュルブルクリンク」のところにカフェがあるイメージ、サーキットカフェがあるようなイメージをしてください。そこは常に開いているロビーみたいなものですから、そこに入っていくと、そのときに居合わせた人とチャットをしたり、あるいはトラックを走ったりすることができる、っていうものですね。
――「グランツーリスモ7」では「ラリー」はどれぐらいの重要度をもっていますか。ダートやスノーのコースは登場しますか。
山内氏: はい。ダートトラックは「グランツーリスモ7」にも入ってますよね。スノートラックはまだ入っていません。恐らくアップデートで追加できるんじゃないかと思いますけれども。
――過去の「グランツーリスモ」シリーズでは、ちょっとした隠し要素だったり、面白い要素が隠れていたりしましたが、今回は何かイースターエッグなどは隠されているのでしょうか。
山内氏: ありますが、申し上げることはできないですね(笑)。
25年前に「グランツーリスモ」が生まれたときは極めて“実験的なタイトル”だった。実は今でもあまり変わっていない
――25年間の「グランツーリスモ」というのはものすごい旅ではあると思いますが、これまでの25年間のあいだで1番、山内さんが感動した瞬間はどんな時だったでしょうか。
山内氏: そうですね。それぞれのタイトルごとに、ある日何かがこう生まれて、それがガラッと世界を変えることって、そういう経験ってあるんですよね。そういうことが生まれた瞬間、その日の夜っていうのはすごくハッピーになりますよね。こう何かを見つけたっていう。
――「グランツーリスモ」の最初の頃のシリーズ作品で、1番好きだったのはすごく“前進した”、“良くなっていく”という感じがキャンペーンモードから得られたことで、最初は何にもないところからライセンスをどんどんクリアしていって、クルマもどんどん良いものを揃えていく。そんな進化のような満足感は「グランツーリスモ7」でも得られるようになっていると思いますか。
山内氏: だと思います(笑)。
――山内さんはこれまでにも、新しい世代の人々にクルマのカルチャーを伝えていくという責任感というものを感じられているということでしたが、「グランツーリスモ7」で今回、山内さんが実現しようと思ったものはなんでしょうか。
山内氏: そうですね。「カフェ」に代表されるように、実はさっき音楽は1つ「グランツーリスモ7」の大きなテーマだったっていうお話をしましたけれども。あとは「人」なんですよね。「カフェ」には人が登場するわけですけれども、そこで人からクルマに関する話を聞く。そういう体験を子供たちにしてもらいたかったんですよね。
――山内さんは「クルマは世界を反映しているような存在」だという話をされていましたが、「グランツーリスモ7」というのは現代のクルマカルチャーをどういうふうに反映しているのでしょうか。
山内氏: はい。そうですね。長い間「グランツーリスモ」を作ってきて、やっぱり自動車に関わっている本当に素敵な人たちとたくさん出会って、その想いをね、ゲームを通じて伝えたいということと、あともう1つはクルマと人間社会っていうのは常に密接な関係を持っていますよね、この過去百何十年間の歴史がありますけれども。その人の社会、人間社会との関わりを強く持っているクルマを、僕らは扱っているわけですから、ビデオゲームという形で。だから「グランツーリスモ」を通じて、なんて言うんでしょうね、「グランツーリスモ」からクルマっていう存在を通じて、その向こう側にいるプレーヤーたちにね、やっぱりより素敵なものを知ってもらうとか、もっと言うと、よりハッピーになってもらうというかね、そういう好ましい影響を社会に対して与えることができたらいいな、と思って作ってますね。
――最後の質問です。山内さんが思う、25年間の「グランツーリスモ」の中で1番達成感を感じるのはどういったところでしょうか。
山内氏: 25年前に「グランツーリスモ」が生まれたときというのは、まあ僕自身覚えてますけれども、極めて“実験的なタイトル”でした。なので、それがポピュラーなタイトルになるっていうつもりは全くなかったんですね。
その実験的なタイトルであるっていうのが、実は今でもあまり変わっていないんだけれども、それでも「グランツーリスモ」を支持してくださるプレーヤーの皆さんがいたり、メディアの皆さんがいたり、そして何よりこのポリフォニー・デジタルのチームというのは、最初の「グランツーリスモ」からチームが全く変わっていないんですよね。人が15人だったチームが、今や300人近くになりましたけれども、ずっと同じファミリーで作り続けている。その25年間同じファミリーで作り続けられた、それはもちろんユーザーの皆さんのサポートがあったからなんですけれども、その幸運に1番感謝していますね。
――山内さん、貴重なお時間をありがとうございました。
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