なお,以前に掲載したインプレッション(関連記事)はプレビュービルドをプレイした内容であり,今回の記事はキャラクタークリエイトやマルチプレイからゲームプレイを行える,製品版とほぼ同一の最終ビルドをプレイしたものになる。
そのため,プレビュービルドではプレイできなかった箇所をメインに触れているので,ゲームの流れや雰囲気などは上記のインプレッションを参照してほしい。本作を簡潔に表現するならば,「フェイトメーカー(勇者)となり,なんでもアリの“ヒャッファンタジー”な世界で銃と魔法をぶっ放すゲーム」といったところだ。襲いくる敵を片っ端から撃ちまくって,誰でも“ヒャッハー!”になれる本作をマルチプレイで体験してきたので,ぜひ読み進めていただきたい。
いざワンダーランズへ
さて,マルチプレイを体験してきたと先に記したが,今回は筆者(夏上シキ)と4Gamer編集部のS.K.Yで協力しつつ進めてみた。先に断っておくと,2人ともシューターに慣れているゲーマーである。そのため,割とサクサク進んだが,シリーズが未経験だったり,シューターを普段から遊ばないゲーマーは,時折難しさを感じる場面があるかもしれない。ただ,全体的には難しさをウリにしているタイトルではなく,爽快感や独特な世界の体験を重視しているようだ。
ゲームをスタートすると,まずはキャラクタークリエイトを行う。前回のインプレッションでは作成済みのキャラクターから選択していたので,初めて体験することになる。
まずは基本となるクラスから。戦闘スタイルのベースとなるクラスは6種類から選択できる。それぞれが持つ「クラス特性」と「アクション・スキル」がワンダーランズでの戦いに華を添える。どのクラスを選んでもゲームは楽しめるが,特色があるので軽く紹介していこう。
・スペルショット
魔法に特化したクラス。習得するスキルは魔法に関連したものばかりで,とにかく魔法をぶっ放したいフェイトメーカーにオススメだ。
・グレイヴボーン
敵を遠隔攻撃する“デミ・リッチ・コンパニオン”を引き連れる闇の使者。アクション・スキルで自らのライフを消費して攻撃したり,逆に一気にライフを回復したりと使い勝手がいいクラスだ。
・スポア・ウォーデン
キノコの相棒“マッシュルーム・コンパニオン”を引き連れるクラス。この“マッシュルーム・コンパニオン”は近くの敵にポイズンダメージを与え,戦闘を有利に進めることができる。
・バー・ザーカー
一定時間,攻撃にフロスト・ダメージが追加される“憤激”状態になったり,ド派手な近接攻撃を繰り出したりできる。思うがままに敵を打ち砕こう。
・スタボマンサー
クリティカル・ヒットを強みとする。一定時間ステルス状態となって身を隠したり,巨大なゴーストブレードを投げつけたりと,アサシン的なスタイルでの戦闘を行える。
・クロウブリンガー
“ワイバーン・コンパニオン”を引き連れる。“ワイバーン・コンパニオン”は辺りを飛び回って爪とファイアー・ブレスで敵を攻撃し,自身もどこからともなく巨大なハンマーを取り出して攻撃したりと,絵面はなかなかインパクトがある。
最初に決定するクラスはキャラクターが成長するにつれて「メインクラス」となり,フェイトメーカーは「サブクラス」も備えた「マルチクラス・ヒーロー」へと進化する。メイン,サブと銘打っているものの,それぞれが習得するスキルに差はないようで,多様なキャラクタービルドを行えるのが本作のポイントだ。しかし,この「メインクラス」は決定すると変更ができないため,慎重に決めてほしい。
筆者は“ワイバーンが映えそう”という理由で「クロウブリンガー」,S.K.Y.は“近接攻撃が面白そう”という理由で「バー・ザーカー」をチョイスし(まったく慎重じゃないという意見は受け付けません),キャラクタークリエイトを続ける。
キャラクタークリエイトはとにかく詳細に設定できる。各パーツの位置や大きさ,声の種類や高さといった豊富な項目があり,自分だけのフェイトメーカーを作成できる。凝り出したら,優に1時間は経ってしまうだろう。キャラクタークリエイトが好きなプレイヤーも,きっと満足できるはずだ。自然の摂理を完全に無視した外見を作り出すことも可能なので,「笑えるキャラを作ることに命をかける」層も楽しみにしていてほしい。そして,ゲームを進めれば,シリーズおなじみの自販機のような形で外見の変更ができる。気分転換をしたいフェイトメーカーも,後悔に苛まれるフェイトメーカーもガンガン利用しよう。
キャラクタークリエイトを終えると,「運命のいたずら」と呼ばれるキャラクターのバックグラウンドを決めることに。「村のふらち者」「エルフが育てた者」「夜逃げした僧侶」「収集癖を克服した者」「落ちこぼれ錬金術師」など,なかなか個性的な面々が揃う。筆者は“エルフが育てたワイバーン使い…これしかない”と,「エルフが育てた者」を即座に決断したが,これらのバックグラウンドは初期のステータスと,ゲーム内での会話などに影響してくるため,クラスとの相性を考慮するか,ロールプレイに走るかはプレイヤー次第だ。ただ,あくまで基礎ステータスは“若干”異なるだけであり,自由に割り振れるステータスのポイントもあるので,ゲームプレイに絶対的な違いが生じるわけではないようだ。
こうして,世に生み出されたのが「樹液と葉っぱを主食として,エルフに育てられたワイバーン使い」と「互いに連携することのない2つの脳細胞を持つ,村のふらち者のバー・ザーカー」である。前者は“樹液と葉っぱが主食を避けるか,エルフ育ちのワイバーン使いを実現するか”と20秒悩んだ結果であり,後者は“なんか頭悪そうだし……ふらち者でいっか”というテキトーさで世に放たれた。こうして生まれた2人のフェイトメーカーであるが,この面子が霞むくらいのぶっ飛んだストーリーと体験が我々を待ち受けていたのだ。
ぶっ飛んだスタートと緻密なゲーム体験
フェイトメーカーを作成すると,詳しい説明もされないまま,プレイヤーはファンタジーの世界へ“出発”させられる。目の前が白く光ったと思えば,洞窟のような場所から一気にワープするプレイヤーを待つのは,“唐突に魔法の視力と聴力を手に入れる”,“ホットな木こり女子が置いていった斧を拾う(勝手に持ち去る)”といった序盤からティナの性格を思いっきり反映した世界観だ。このイカれた(誉め言葉)のワールドこそ,フェイトメーカーの冒険の舞台であり,世界一危険な13歳「タイニー・ティナ」が作り出した「ワンダーランズ」。チュートリアル段階から“ボダラン節”(ワダラン節)が突き抜けているが,これは自身の目で確認していただきたい。とにかく,アクセルは最初から全開とだけ言っておこう。
細かいことを気にせず順当に銃と魔法をぶっ放してストーリーを進めれば,キャラクターが2頭身となり,オブジェクトもデフォルメされた,さながらRPGのフィールドマップのような場所に出る。これが「オーバーワールド」であり,フィールド間を繋ぐ役割を持っているエリアになる。前回のインプレッションでは立ち入りができなかった場所だ。
“オーバーワールド?なんだそれ。ロード時間に動き回れるだけじゃないの?”と思われるかもしれないが(筆者もそうだった),「オーバーワールド」でしか達成できないコンテンツが複数存在し,プレイヤーは右へ左へ走り回ることになる。
一つ例を挙げると「神殿の建設」というものがある。これはワンダーランズ各地に散らばる神殿の欠片をすべて集め,神殿を再建するというもの。これに限らず,倒木を“ぶん殴って”道を開通したり,ショートカットを生み出したりとなかなか時間がかかり,単なるフィールド間移動コンテンツの域に留まらない。
草むらを走り回っていれば,同じくデフォルメされた敵がスポーンし,接触することで「エンカウント」の戦闘になる(一時的にFPS視点に戻って戦うことになる)。経験値を頂戴するのにもいいし,クリアすると装備も獲得できるので,とくに装備の更新が重要となる序盤では積極的に戦いを挑むといい。だが,“ちょっと戦闘の気分じゃないな”とか,“崇高な使命を帯びているので,一刻も早く駆け抜けたい”場合もあるに違いない。そんな時はスポーンしたシンボルをぶん殴って「いやいや」と意思表示してみよう。敵は跡形もなく一瞬で吹き飛び,塵と化す。
「フィールドでクエストをこなす⇒オーバーワールドで移動⇒新たなフィールドへ」が基本的なプレイの流れになるが,“暇な時間”がほぼないのは好印象。大体,常に何かしらのアクションがあり,行動の選択肢も与えられているので,一本道のストーリー展開ながらも自由度は高めに感じられる。
1人でも十分に楽しめる本作だが,やはり仲間を集めてのプレイはより楽しいだろう。今回は2人で協力プレイをしたわけだが,近接攻撃を得意とする「バー・ザーカー」を「クロウブリンガー」が援護するスタイルで非常に盛り上がった。なお,マルチプレイには「対立」と「協力」という2つのモードが用意されている。
「対立」モードは敵の強さがパーティーホストのレベルになり,戦利品も各々にドロップしないので,完全に早い者勝ちの仕様だ。一方,「協力」モードではプレイヤーごとに戦利品がドロップし,敵のレベルやドロップの質も各プレイヤーに沿ったものになる。基本的には「協力」モードがオススメだが,戦利品を目がけて突進することに喜びを感じるプレイヤーが集まった場合は「対立」モードも面白そうだ。この設定はゲーム内でいつでも切り替えられるので,気分屋のゲーマーも安心してほしい。
また,本作は発売されるすべてのプラットフォーム間でのクロスプレイに対応している。詳細は公式ホームページで告知されているが(関連リンク),超カオスでクレイジーな冒険をより多くのフレンドとプレイできるのは非常にありがたい。フレンド間でのパーティプレイはもちろん,オンラインでマッチングしたプレイヤーともパーティを組めるので,手慣れたヒャッハーも新米ヒャッハーも存分に楽しもう。
「ボーダーランズ」シリーズのスピンオフという形で,ゲーマーの前に姿を現した「ワンダーランズ 〜タイニー・ティナと魔法の世界」。実質的にはシリーズ最新作という看板に恥じない,本気(マジ)な仕上がりに期待していいようだ。
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