長い戦いだった。
iPhoneのiOSが14.5へアップデートされたことで、待望の「マスク装着時アンロック対応」が実現したのだ。
iPhone X以降に搭載されているAppleの認証システム「Face ID」は、深度センサーを用いた高度な顔認証を行う方式で、その精度には定評があるのだが、顔の一部が隠れていると、認証のためのパスコードが必要となる。これで困るのがマスク装着が社会的義務になった人、つまり2020年から現在までのわれわれだ。iPhoneをアンロックするのにマスクを下すのもはばかられるので、そのたびにiPhoneに6桁の数字を入力することになる。
このため、指紋認証のTouch IDを搭載したモデルを復活する声も大きくなっている。
認証の精度を下げずに、セキュリティを確保したうえでマスク装着時の認証を改善する。このためにAppleは1年以上を要した。
Appleは2020年5月、iOS 13.5へのアップデートによって、マスクを装着しているときにすぐにパスコード入力に移行するように改善した。それまでは、パスコードに移るまでにも時間がかかるという面倒な状態だったのがわずかに改善されたことになる。
同じころ、中国のTencent Security Xuanwu Labは、iPhoneのマスク問題を回避する方法を編み出した。マスクの左右片側だけを装着した状態をFace IDの「もう一つの容姿」として登録するというハックだ。
しかし、これもセキュリティが大幅に低下するため推奨はできないという。
Apple Watchによるアンロックは、Macユーザーであれば既に体験していることだ。Apple Watchを装着した状態でMacのキーボードやマウス、トラックパッドに触れるとパスワード入力なしにログインできる。ソフトウェアのインストール時に必要なパスワード入力も、Apple Watchのサイドボタンをダブルクリックするだけで可能だ。
実をいうと、最近のMacBookに備わっているTouch IDボタンもさほど必要ないくらいに便利である。
さて、ここまで書いているうちにiOS 14.5のインストールが終わり、その後に可能になったwatchOS 7.4のアップデートも完了したのでいよいよマスク装着時でのiPhoneアンロック体験を始めてみる。
iPhoneをApple Watchマスクアンロックに設定する
設定>一般>ソフトウェア・アップデートでiOS 14.5にアップデートすると、wachアプリからwatchOS 7.4がインストール可能になるので、実行する。
次に、設定>Face IDとパスコードをスクロールダウンしていき、「APPLE WATCHでロック解除」を見つける。そこにペアリングされているApple Watchが表示されているので、その右側にあるトグルを緑色になるようスイッチする。デフォルトではApple Watchによるロック解除はオフなのだ。
マスクを着用していてFace IDで顔を認識できないとき、Apple Watchのセキュリティー保護された接続を使用してiPhoneをロック解除します。Apple Watchは、iPhoneとの通信範囲内にあり、手首に装着されていて、ロックが解除されており、さらにパスコードで保護されている必要があります。
という説明がある。
スイッチをオンにすると、下記の警告が出る。
マスクを着用した顔が検出されるとKoyaのApple Watch 6でiPhoneのロックが解除されます
マスクを着用しているとFace IDであなたの顔を認識できないので、Watchが近くにあってロック解除されているときにマスクをしている顔が検知されると、それがあなたの顔でなくてもiPhoneのロックが解除されます。意図せずにロックが解除された場合は、Watch上の触覚及び通知によりiPhoneを再びロックすることができます。
つまり、マスクしている顔は、それが自分のものでなくても有効であるということだ。これは他の人が周囲にいる場合には危険だ。間違ったら再ロックする必要がある。
マスクをした状態ではFace IDでマスクが覆われていないところだけ認識して、さらにApple Watch装着による本人性を追加してセキュリティを高めているのかと想像していたが、そうではないのだ。これは注意が必要だ。
夜中にやるとうまくいかない
さっそく政府から支給されたマスクを初めて装着してiPhoneのFace IDを認識させようとしたが、うまくいかない。布マスクのせいではないらしい。
最近になってApple Watchに「睡眠モード」を導入したのだが、それがいけないらしい。そういえば、睡眠モード時にはMacのアンロックも無効化されていた。
Apple Watchを下からスワイプしてコントロールパネルを呼び出し、睡眠モードをオフにしたら、アンロックは成功した。
実は、マスクとFace IDの相性問題は、Face IDがiPhone Xに搭載された2017年から指摘されていた。指摘していたのは主に花粉症の人々である。しかし、その意見は受け入れられることなく3年が経ち、新型コロナウイルス対策としてマスク装着が必須となって大多数のiPhoneユーザーが声を挙げ、ついに「マスクしていてもFace IDアンロック」が実現したのである。
Apple Watch必須というところが釈然としない人も多いと思うが、このデバイスはコロナ禍においては特に健康面でのメリットが大きいので、導入はお勧めしておきたい。
最近、ロードバイクとダイレクトドライブ方式のローラー台を組み合わせて室内ライディング「Zwift」を始めたのだが、そこでも心拍数取得に利用している。
便利なApple Watchだが、もう一つ注意点がある。Apple Watchでアンロック可能なのはあくまでもiPhoneのロック解除であって、Face ID全般を代替するわけではないということだ。
Apple Pay支払いやSuica起動時にはFace IDチェックを行うが、Apple Watchでは代替できない。MacのときのようにApple Watchのサイドボタンダブルクリックで認証するといったことはできないのだ。
今回サポートされたのは「iPhoneのロック解除」だけなのだ。まあそれでも相当便利ではある。コロナ禍になってからは、支払い時にiPhoneを出すのはFace ID不要のPayPayくらいで、後はApple WatchのSuicaを使っている。
さて、朝になったので、マスクとApple Watchを着けて外出してみよう。
関連記事
からの記事と詳細
https://ift.tt/3sRfLL3
科学&テクノロジー
Bagikan Berita Ini
0 Response to "Apple WatchでiPhoneのFace IDアンロックを初体験して分かったこと Apple Watchはもはや必須 - ITmedia"
コメントを投稿