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NASA火星ヘリコプター2回目の飛行に成功、2mの水平飛行も実施 - sorae 宇宙へのポータルサイト

【▲ 火星探査車「Perseverance」が撮影した2回目の飛行を行う小型ヘリコプター「Ingenuity」(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は現地時間4月22日、火星ヘリコプター「Ingenuity(インジェニュイティ)」による2回目の飛行が成功したことを発表しました。

長さ1.2mのカーボンファイバー製ローター(二重反転式)を備えた重量1.8kgの小型ヘリコプターであるIngenuityは、2021年2月に火星のジェゼロ・クレーターへ着陸した探査車「Perseverance(パーセベランス、パーサヴィアランス)」の車体底部に搭載される形で火星に到着しました。

4月3日に地表へ降ろされたIngenuityは、ローターの回転試験などを行った後、4月19日に史上初となる火星での航空機による制御された動力飛行に成功しました。「ライト兄弟飛行場」と名付けられた離着陸地点から垂直に上昇したIngenuityは、高度3mで30秒間のホバリングを実施。歴史的な初飛行の飛行時間は合計39.1秒間でした。

日本時間4月22日18時33分に始まった2回目の飛行において、Ingenuityは前回よりも2m高い高度5mまで上昇。初飛行は垂直方向の飛行のみでしたが、今回は短時間のホバリングに続いて横方向に2m移動する水平飛行を行った後に、離着陸地点の上空に戻ってから着陸することに成功しました。今回の飛行時間は59.1秒間とされています。

【▲ 高度5mでホバリングを行うIngenuity、Perseveranceが撮影(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)】

火星の環境は地球とは異なり、地表の重力は地球の約3分の1、地表の気圧は地球の約1パーセントしかありません。Ingenuityのチーフパイロットを務めるJPLのHåvard Grip氏は「火星でのヘリコプターの飛行方法については未知の部分が多くあります」と語ります。火星の薄い大気における動力飛行の実証を目的に開発されたIngenuity、その小さな一歩の積み重ねによって、火星探査におけるドローン活用への道筋が今まさに切り拓かれつつあります。

なお、Ingenuityのミッションは合計30ソル(1ソル=火星での1日、およそ24時間40分)が予定されています。2回目の飛行はミッションの18ソル目に実施されており、残り期間は3分の1ほどとなりました。Ingenuityの運用チームでは、今後の飛行からさらなるデータを得るための最善の方法を検討しているとのことです。

【▲ 2回目の飛行中にIngenuityのカメラが撮影した地表。Ingenuityの影が前回よりも小さく写っている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

関連:NASA火星ヘリ、人類史上初の地球外での動力飛行に成功。動画も公開

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS
NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS
文/松村武宏

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