高くてもその分の価値を実感。
Razer(レイザー)がゲーミングノートPC・Blade 15をアップデートしました。3月に発売されていたBase Modelに加え、ハイスペックなAdvanced Modelも先日出そろい、米GizmodoのSam Rutherford記者がAdvancedな方を使い込んでいます。以下、Rutherford記者のレビューをどうぞ!
ゲーマーって一口に言いますが、それぞれ違っていて、使うデバイスも人それぞれです。コンポーネントをシンプルにつなげただけのシステムを好むゲーマーもいれば、光り輝く宇宙戦艦みたいなゲーミングノートPCを望む人もいます。
でも「プレミアムなゲーミングノートPC」といったら、Razer Blade 15 Advanced Model(以下Blade 15 Advanced)以上にしっくり来る存在はありません。ハイエンドなゲーミングマシンにつきものの課題は多少あるものの、Blade 15 Advancedの体験は、Razerのもっと安価なマシンでは得難いものになってます。
Blade 15の2021年モデルは、外観的には前と大きく変わらず。この点は僕としてもまったく不満ありません。相変わらず美しいアルミユニボディの筐体に、RazerのシグネチャーであるChromaライティングとバックライトRGBキーボードが輝きます。タイピングする感触は以前と同様パキパキと心地よく、適切に配置されたステレオスピーカーはつねに豊かな音を聞かせてくれます。サイズは以前より厳密には4%小さくなっていて、多少なりとも軽くなったらしいのはうれしいですが、現物を手にして違いに気づくほどじゃありません。
Razer Blade 15 Advanced Model
これは何?:ハイエンドな15インチゲーミングノートPC
価格:Base Modelが1,300ドル(日本価格21万9800円)からで、レビューしたのは2,600ドル(日本価格32万9800円)のAdvanced Model。
好きなところ:ビルドの質の高さ、ディスプレイのオプションが幅広いこと、ポートも良く取りそろえてること。
好きじゃないところ:価格、ディスプレイはもっと明るくてもいい、指紋が目立つこと、ファンが時々うるさいこと、AMDベースの構成がないこと。
2021年のBlade 15で変わった点は、ほとんどが本体内部、または側面にあります。Maxではディスプレイのリフレッシュレートは最高360Hzにできるし、GPUはNvidia GTX 3080、CPUはIntel第11世代から選べます。ストレージスロットがリデザインされ、M.2のSSDを2枚差せるようになり、さらに高解像度・高リフレッシュレートでの外付けモニタへの出力に必須となるHDMI 2.1ポートも加わりました。フルサイズのSDカードリーダーも搭載です。
2,600ドル(日本価格32万9800円)のレビュー機はバランス良い構成で、ディスプレイは2560 x 1440のマットな非タッチ式、CPUはIntel Core-i7 10875H、GPUはRTX 3070、メモリが16GB、SSDが1TBという布陣です。SSDが1TBであること(節約するなら512GBにもできます)以外で僕が気に入ってるのは、GPUが2560 x 1440の240Hzディスプレイにちゃんと釣り合ってることです。GPUにお金をかけても、システム全体がきちんと噛み合ってるかどうか、見逃されてることが意外と多いんですよね。
高フレームレートが楽に出る
今回僕がレビューしたのは、Advanced Modelの中では一番安価なRTX 3070搭載機でした。それでも多くのAAAタイトルの多くで、グラフィックスのいろんなオプションをオンにし、リフレッシュレートもMaxの240Hzにしつつ、高いフレームレートを簡単に出せてました。
なので『CS:GO』とか『Overwatch』といったタイトルをプレイするときは、有利になりそうです。またたとえば『Shadow of the Tomb Raider』を1920 x 1080・最高設定でプレイしたときのフレームレートは112FPSで、MSI GP66 Leopardでの118FPSと良い勝負でした。『Far Cry』でも同じように、1920 x 1080・ウルトラ設定のとき、Blade 15 Advancedは109FPS、MSI GP66 Leopardは120FPSでした。
値段の安いMSI GP66のほうが5〜10%ほど良い数字を出してることにがっかりする人もいるかもしれませんが、この差は商品としての位置づけの違いを示してます。MSI GP66は同等スペックで価格は数百ドル安いんですが、Blade 15ほど洗練されてはいません。
RazerのビルドはMSI GP66よりはるかに高品質で、筐体は強く押しても曲がったりしないし、動画再生テストでのバッテリー保持時間は7時間10分と、4時間35分だったMSI GP66の1.5倍以上です。なので日々使ったり持ち歩いたりするのに適しているし、ゲーム以外の退屈な目的で使うときでも快適です。
デザインが控えめなので、パワーを誇示するというよりは、ちゃんと仕事をすることで力を証明してくれてるような感じがします。より成熟したゲーミングノートPCであり、こういう贅沢にお金を出せる大人なゲーマーがターゲットなんだなと思わせます。
不満はささいなものばかり
Razer Blade 15への不満を強いて挙げれば、わりとマイナーな3つのことに集約されます。ひとつめは、テストではディスプレイ最大輝度が301ニトで、インドアなゲーミングでは十分なんですが、この価格帯としてはかなりフツーなことです。とくに最近のウルトラポータブルマシンでは400ニト以上のものが多くて、それだと屋外とか、自然光あふれるカフェとかでも見やすいんです。とはいえ、240Hzの高リフレッシュレートより画質のほうを重視するなら、Blade 15のディスプレイは、60Hzだけど明るい有機ELにもできます。
ふたつめの小さな欠点は、Blade 15 Advancedは負荷がかかるとファンがガンガン回り出し、やや高音のウィーーーンという音が耳につくことです。これはゲームしてる本人はまだしも、周りの人には迷惑だよなと思います。幸いRazerのSynapseアプリでファンの速度は調節できるんですが、人前でゲームするならあらかじめ設定しておかないと、ウィーーーンとなったときに周りが「何この音?」というリアクションでざわついてしまいます。
3つめの不満は、なんでかRazerがいつになってもCPUもGPUもAMDのものを選択肢に入れてなくて、今や最後のAMDレスなゲーミングノートPCとなってることです。他のゲーミングPCでAMDのCPUがうまく使われてるのを見ると、Razerに入ってこないのはもどかしいんですが、ラグジュアリーマシンだからしょうがないってことなのかもしれません。
上質を求める人のためのゲーミングPC
そんなわけで、Blade 15 Advancedは他のゲーミングノートPCより高いんですが、その分きめ細やかな工夫とか心地よさにあふれています。ポートは豊富で余計なアプリはなく、2枚めのSSDを入れるゆとりもあり、美しいアルミのデザインはゲーミングノートPCというよりMacBook Proと比較したくなります。高かろう良かろう、って感じです。
決して安くはありませんが、生活の中でディテールやより上質なものを求める人なら、値段なりの価値が感じられると思います。
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