「iPad」選びなんて簡単、最新モデルを買えばいい──。そんなふうに思うかもしれないが、実は話はそこまで簡単ではない。
アップルはiPadシリーズに4つのモデルを用意しており、それぞれに独自の強みがある。しかも、ネット通販やネットオークションで扱われる旧モデルの中古品の数は増える一方だ。これらのiPadは一見すると同じように見えるので、どれをいくらで購入するのかは重要な問題だろう。
そこで今回は、現時点で購入可能なおすすめのiPadについて、モデルごとの違いを含め解説したい。どんなに安くても決して購入すべきではないモデルも含め、既存の古いモデルをすべてカヴァーしている。
すべての人に最適:「iPad」(第9世代、2021年モデル)
大半の人にとってベストな選択は、第9世代の「iPad」だろう。このモデルは最も手ごろな価格のiPadでもある。
iPadの従来モデルと同じ形状と大きさなので、「Apple Pencil」(第1世代)や「Smart Keyboard」など、既存のアクセサリをそのまま使える。ホームボタンや10.2インチの画面を囲む分厚いベゼル(画面の枠)も従来と変わらない。「iPhone 11」に初めて搭載された「A13 Bionic」チップによるパフォーマンスの向上は小幅にとどまっているが、残りの新機能は非常に歓迎すべき改良だった。
まず、最小ストレージ容量が32GBから64GBに増量された。そして、周囲の光に合わせてディスプレイの色温度を調整する機能「True Tone」が採用されたことで、画像がより自然に表示される。
とはいえ、今回の改良のいちばんの目玉はフロントカメラである。120万画素から1,200万画素へと大幅に強化されたほか、センターフレーム機能が追加されている。センターフレーム機能とは、ヴィデオ通話中にフロントカメラが人の顔を認識して自動追従してくれる機能で、これまでは「iPad Pro」専用の機能だった。ただし、フロントカメラの位置は相変わらず不自然である。
またiPadシリーズでは唯一、液晶パネルからカヴァーガラスまでを圧着して一体化したフルラミネーションディスプレイではない。ディスプレイとカヴァーガラスの間に空気の層があるので、画面を操作する際にほかのiPadと比べてタッチの精度が劣る印象だ。これは特にApple Pencilを使ったときに顕著に感じられる。
「iPad」をAmazon.co.jpで購入Apple Storeで購入
持ち運ぶなら最強:「iPad mini」(第6世代、2021年モデル)
iPadの小型モデルである「iPad mini」のデザインは、従来のモデルから大きく変更された。2021年のモデルチェンジではiPad Proのデザインに似たものになり、8.3インチの画面を囲むベゼルが狭くなっている。従来モデルより少し画面の長さが短くコンパクトなサイズなので、どこにでも持ち運びできる。カーゴパンツにもすっぽり入るくらいの大きさだ。
ホームボタンはなくなったが、顔認証機能「Face ID」は採用していない。代わりに「iPad Air」と同様に、電源ボタンに指紋認証機能「Touch ID」のセンサーが組み込まれている。5G通信に対応しており、6ギガヘルツ未満(通称・Sub6)の低周波数帯も利用可能だ。何よりもUSB Type-Cに対応しているので、MacBook用の充電アダプターを使ったり、ほかのアクセサリーに接続したりもできる。
最新の「A15 Bionic」プロセッサーが搭載されたことで、どんなアプリやゲームもほぼ快適に動く。フロントカメラと背面のメインカメラが改良され、自撮り用にはセンターフレーム機能も搭載された。第2世代Apple Pencilに対応しているので、本体の端にマグネットでくっついて自動で充電される。もう机から転がり落ちてしまう心配は無用だ。
「iPad mini」をAmazon.co.jpで購入Apple Storeで購入
仕事に使うなら:「iPad Air」(第4世代、2020年モデル)
第4世代「iPad Air」は、高い金額を払ってiPad Proを購入する必要があるのかと思うほど高性能だ。「iPhone 12」シリーズと同じ「A14 Bionic」を搭載しており、スピードとパフォーマンスはiPad Proに引けをとらない。10.9インチの画面を囲む均一でスリムなベゼルなど、見た目もiPad Proとそっくりである。
関連記事:新しい「iPad Air」は、「iPad Pro」が必要ないほど素晴らしく進化した:製品レヴュー
仕事や学業をこなすにはちょうどいい大きさで、iPad Proと同じ多くの機能が搭載されている。本体の端にマグネットでくっつき、自動で充電やペアリングが可能な第2世代のApple Pencilを利用でき、USB Type-Cに対応している。
ホームボタンはないが、iPad miniの新モデルと同様にTouch IDが電源ボタンに組み込まれている。このため、指紋を使ってロックの解除や購入の承認も可能だ。
『WIRED』US版のレヴューによると、このモデルのTouch IDは何度か試さないと機能しない場合があるが、機能すれば速いという。また、バックライトが画面の端でにじんでいることにも気づいたといい、一部の購入者からは不満の声が上がっている。この問題に気づいたら、商品の交換をアップルに求めるといいかもしれない。
「iPad Air」をAmazon.co.jpで購入Apple Storeで購入
iPadの最強モデル:「iPad Pro」(12.9インチの第5世代、11インチの第3世代、2021年モデル)
「iPad Pro」には11インチと12.9インチの2種類のサイズが用意されているが、後者は別格の存在である。これほど大画面のタブレット端末は類を見ないし、Apple Pencilで何かを描くなら最適だろう。
だが、より際立った特徴はディスプレイそのものにある。新たにミニLEDバックライトが採用されたが、これは12.9インチモデルのみ。ただし、これは液晶ディスプレイの一種であり、最新のiPhoneに搭載されているような有機ELディスプレイではない。
関連記事:「iPad Pro」の2021年モデルは“史上最強”のタブレット端末だが、ノートPC代わりにはなりえない:製品レヴュー
有機ELディスプレイでは各ピクセルが個々に発光するので、コントラスト比がより高くなる。それでも、ミニLEDバックライトには数千個のLEDが搭載されているので、画面の明るさを細かなゾーンごとに制御可能だ。このため高いコントラスト比とダイナミックレンジ、高輝度を実現できる。画像があまりに素晴らしかったので、個人的には映画を視聴する際に最新の「iMac」ではなくiPad Proを選ぶほどだ。
iPad Proは、「MacBook」と同じアップル独自チップの「M1」を搭載した初めてのiPadでもある。M1チップの性能を最大限に生かすにはソフトウェアの改良が必要だが、「iPadOS 15」に加わった改良によって、これまでより多用途に利用できるようになっている。
iPad Proは顔認証機能「Face ID」に対応し、120Hzのリフレッシュレートで滑らかなスクロールを可能にする「ProMotionテクノロジー」を採用した唯一のiPadとなる。また、4つのスピーカーで音質が向上しており、マイクの数を増やして音声をより鮮明に拾えるようにもなった。
iPadとして初めてセンターフレーム機能が搭載されたiPadで、背面には超広角カメラが加わって迫力のシーンを撮影できるようになった。より正確な拡張現実(AR)を実現すべくレーザー光を用いたセンサー「LiDAR(ライダー)」も搭載されているが、ARアプリを利用する機会はほとんどないかもしれない。iPad Airと同様に、Magic KeyboardやSmart Keyboardに対応している。
「iPad Pro(11インチ)」をAmazon.co.jpで購入Apple Storeで購入
「iPad Pro(12.9インチ)」をAmazon.co.jpで購入Apple Storeで購入
場合によっては“買い”:旧型の「iPad Pro」
アップルは常にiPad Proに特別な機能を搭載してきた。このため2018年と2020年の11インチモデルは、650ドル(約72,000円)以下なら購入する価値があるだろう。 2020年以前の12.9インチモデルには、800ドル(約89,000円)以上を出さないようにしたい。
それ以上の価格なら、2021年モデルを購入したほうがいい。これらのiPad Proはどれも非常に性能が高く、多くの点で最新モデルに匹敵する。また、トラックパッド付きのMagic Keyboardにも対応している。なお、同じiPad Proでも、10.5インチ、10インチ、13インチのモデルは古すぎるので、見つけても購入する価値はない。
適正な価格なら選択肢に:「iPad Air(第3世代)」、「iPad(2020年モデル)」、「iPad mini(第5世代)」
2019年モデルの「iPad mini(第5世代)」と「iPad Air(第3世代)」、そして10.2インチの「iPad(2020年モデル)」は、すでにアップルでは公式に販売終了となっている。だが、ほかの店で中古や新品を見つけたら、十分に役立つだろう。今後も長く使えることは期待できないが、少なくとも数年は使えるはずだ。
3つのモデルはすべて第1世代のApple Pencilに対応しており、あとのふたつはSmart Keyboardにも対応している。2020年のiPadには250ドル(約28,000円)、iPad mini(第5世代)には350ドル(約39,000円)、iPad Air(第3世代)には400ドル(約44,500円)以上は払わないようにしたい。これ以上の価格なら、最新のモデルを購入したほうがずっと長く使えるだろう。
避けるべきモデル:第7世代までの「iPad」、第4世代までの「iPad mini」、第2世代までの「iPad Air」
これらのモデルは、どれも購入すべきではない。金銭的に余裕がない場合であっても、動作が遅かったりするので精神衛生上よくない。古いiPadでもそこそこの機能を発揮することはあるが、誰かにタダでもらう場合を除いて、もう少し新しいモデルを探すようにしたい。
それに古いiPadの多くは、もはやソフトウェアアップデートを受けられなくなっている。スマートフォンやPCと比べると、動作もかなり遅く感じられるだろう。
iPad miniの第4世代までやiPadの第7世代までのモデルは、ディスプレイの解像度が低くて画質が粗いか、そうでなくても古すぎる。2014年の初代iPad Airや2015年の第2世代モデルも古すぎるので、購入は避けたい。
※『WIRED』によるiPadの関連記事はこちら。
からの記事と詳細
https://ift.tt/39ZOwH4
科学&テクノロジー
Bagikan Berita Ini
0 Response to "いま「iPad」を購入するなら、どれを選ぶべき? 新旧おすすめモデル完全ガイド - WIRED.jp"
コメントを投稿