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【宇宙開発のボラティリティ】映画「アルマゲドン」が現実に 小惑星に宇宙機が体当たり、地球を救う実験の打ち上げ迫る【鈴木喜生】 - SankeiBiz

 かつて恐竜を絶滅させ、映画でも数多く描かれてきた隕石の地球衝突。それは決してフィクションではなく、数多くの隕石や小惑星がいまも地球へ向けて飛来している。そしていま、その飛来物を人間の手で迎撃し、地球衝突を回避させる計画が進行している。NASAが今月11月24日、人工衛星「DART」を打ち上げる。地球近傍に飛来する小惑星にその機体を衝突させることで、小惑星の軌道を変えようとしているのだ。今回は、地球に近づく隕石の現状と、史上初の試みとなる同プロジェクトの概要をご紹介したい。

2021年は12月10日に最接近

 2013年、ロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石をご存じだろうか? 直径18m、質量1万トンのこの鉄隕石は、秒速18kmで大気圏に突入した。大気圏内での燃焼によって質量が10トンまで減少したとき、高度わずか15~25kmで炸裂。その強烈な衝撃波によって建物やガラスを粉砕し、約1,600人の怪我人を発生させている。午前9時20分に発生したこの隕石落下は、かつてなく多くの映像が残され、世界に拡散された。

【2013年、チェリャビンスク州に落下した隕石】

 こうした隕石は、決して珍しいものではない。チェリャビンスクの隕石は大気圏に突入したために大きく報道されたが、より大きな飛来物がごく頻繁に、我々の知らない間に地球をかすめながら通過しているのだ。

 下表は地球への接近天体リストであり、月の軌道(地球から38万4,400km)よりも内側に入るものだけに絞られている。

 これを見ると、直近では「2003 XJ7」という天体が今年12月10日に地球に最接近する。その直径は19.3m、チェリャビンスクに落下した隕石よりも大きく、想定される地球への最接近距離(高度)はわずか3,890km。それは気象衛星「ひまわり8号」など、静止衛星で混雑している静止軌道3万6,000kmよりはるかに低い。ちなみに、地球の直径は1万2,742kmなので、そのわずか0.3倍の高度をかすめることになる。

最接近の直前まで発見されない天体が7割

 これらの接近天体に対する観測精度は現在においても十分ではない。半数以上の接近天体は、地球近傍をパスしたあとにしか認識されておらず、最接近より1週間以上前に発見されるものは、わずか3割程度でしかない。

 その理由は、接近天体の多くが直径数十メートルと極小サイズであり、また、自ら光を発しないので光学的な観測では捕捉しづらいからだ。こうした極小天体が、我々が知らないうちに地球への衝突コースに入り、気付いたときには大気圏に突入していた、という事態も十分に考えられる。

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