デジタル世代の嗜好品?
ファンクションキーがない。テンキーもカーソルキーもない。超ミニマルなのに、超高い。
それでもHappy Hacking Keyboard(以下HHKB)の至高の打鍵感に惚れてしまったら最後、ほかのキーボードでは満足できない人が続出しています。ギズモードの中の人も尊師スタイルで仕事している姿がちらほら。
そんなHHKBの中でもハイスタンダードモデルであるProfessional HYBRID(英語配列/墨)を、米GizmodoのAlex Cranz記者がレビューしていますので詳細をどうぞ。
訳者注:レビューの対象商品について、米GizmodoはType-Sのモデルとしていますが、画像の品番から非Type-Sのモデルだと確認できたため、本記事ではHHKB Professional HYBRIDとしています。
ついに完璧なキーボードとめぐり会えました。
こんなことを言ったら各方面から批判が飛び交うのはわかっています。それでも、HHKB Professional HYBRIDにはキーボードの理想が具現化されている、とわたしは思っています。お値段“たったの”3万円ですし。
以前、魔法騎士レイアースのDVDセットを2万円近くで購入して、車で帰宅する30分間ずっと母に叱られっぱなしだった経験があるので、自分が欲しくなった物に対してズレた金銭感覚を抱く傾向にあることも重々承知しています。
それにつけても、HHKBはキーボードファンの間でアツく支持されているだけあって、すばらしいんです。特にこちらのProfessional HYBRIDは今までのよさをすべてキープしつつも、新たにBluetoothとUSB-C接続に対応したことでさらにすばらしさに磨きがかかっていて、もはや3万円というとんでもない価格が妥当に思えてくるレベルです。
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID(英語配列/墨)
これは何?:この世でいちばん贅沢なキーボード。
価格:2万7500円 (税抜)。
好きなところ:すべて。
好きじゃないところ:キーボードごときに3万円も出すなんて高すぎだと思っている人。
東プレスイッチのすばらしさ
高級キーボードはすべての人に向いているわけではありませんし、タイピングのしかたや手指の大きさによってもどんなキーボードが「心地よい」のかは違ってきます。
HHKBの場合は、キーの押し心地を左右するキースイッチの中でも最も贅沢とされる東プレの「静電容量無接点スイッチ」を採用しています。だったらどうなんだ、とわたしも最初は思っていました。オーディオ製品にも言えることですが、キーボードのスイッチもやや噂が一人歩きするというか、大したことなくてもメリットばかりが吹聴されがちなので、実質ほかとそんなに違いはないだろうと用心していたんです。
でも東プレスイッチに関しては、エンジニアのJacob Alexander氏が公表しているガチなデータもあります。つまり、東プレスイッチの評判の高さはちゃんと科学的に裏付けされているんですね。
実際HHKBを使ってみるとわかるのですが、東プレスイッチのキーボードでタイピングするのは至上の喜びです。長年ノート型パソコンの浅すぎるキーストロークを打ち慣らした手が、ひさびさにちゃんとしたキーボードで味わう爽快感をずっと、毎日、味わい続けられます。
HHKBの打鍵音は適度にカチャカチャと鳴り、タイピングする毎に「キーボードを叩くために大量のおカネをつぎ込んだ感」を醸し出せると同時に、職場の上司や同僚の逆鱗に触れずに(またはオンライン会議でまわりに迷惑をかけずに)済みます。
訳者注:フラッグシップモデルであるS-TypeはSpeed(高速タイピング性)とSilent(静粛性)を兼ね備えたキー構造となっており、打鍵音がより静か。
至高のタッチ
HHKB Professional HYBRIDのキーを押してみると、まず指がなんとも満足感のあるクリックを感じます。その感触はメカニカルキーボードのようなかたいクリック感とはまったく違っていて、滑らかな表面をなぞっていくような感じ。キーを押し進めると次第にやさしい抵抗感が高まり、最後に滑らかなリリースが待っています。梱包に使うあのプチプチを指で弾いていくような感触なんですが、不快な破裂音はありません。
この独特の感触は、円錐形のスプリングとゴム製のカップが組み合わさった東プレスイッチの構造ならでは。キーボードマニアの間では、東プレスイッチ好きはもっぱらイカれたメンブレンスイッチ好きで、LogitechやDellから出ているもっと安いキーボードを買う輩となんら変わりないとするジョークが出回っていますが、それを完全に否定できるかどうかはわからないとしても、とりあえずわたしは東プレスイッチに心を奪われてしまっている側の人間です。だからここでは単に東プレスイッチはメンブレンスイッチ式のキーボードよりも長持ちすること、そして打鍵感も優っていることを指摘するに留めます。
コンパクトサイズで合理的
東プレスイッチを使いたいだけならHHKB以外にもいろいろな種類のキーボードがあります。たとえばわたしの職場に置いてあるのはLeopold FC660です。しかし、それらとHHKBとが決定的に違っているのは大きさです。
HHKB Professional HYBRIDには最低限必要なキー60個しかありません。これは一般的なキーボードの60%。通常最上列に並んでいるファンクションキー、また右下のテンキーやカーソルキーはついていません。大きさはフルサイズキーボードの約半分(A4用紙を縦半分に割ったよりも若干幅が大きいぐらい)しかありません。
多くのキーの側面にはF1からF12、Caps、Mute、Pg Upなど別ファンクションが印字されており、Fnキーと合わせて押すことでフルサイズのキーボードと同じ機能をすべて実行できるようになっています。
使いはじめは、複雑すぎて混乱します。キーボードってより素早く、より楽にタイピングできることが目的なんじゃないの? と疑念さえ抱いてしまいます。けれどもそれは最初のうちだけで、やがてすべてのショートカットを指が覚えてしまえば、タイピングのスピードは飛ぶように速くなります。
扱いにくい分、HHKBのキーボードを使いこなすにはある種のエリート意識が含まれている気がしないでもありません。まるで完全無刻印の「Das Keyboard」が出てきた頃を彷彿とさせ、タッチタイピングに卓越した人しか完全に使いこなせない優越感みたいなものが感じられる節も(実際HHKBの無刻印モデルもありますしね)。でも、Dasに比べたらHHKBのほうがずっと小さく、ずっと器量よしです。
USB接続でも、ワイヤレスでもいける
これまでお伝えしてきた操作性に加え、HHKB Professional HYBRIDはUSB-Cを使ってパソコンにつなぐか、またはBluetoothでワイヤレス接続もできるように進化しています。
Bluetooth接続ってなかなかうまくつながらないこともあるのですが(ヘッドホンやマイクの接続に手間取ったことが何度もあります)、この数ヶ月間HHKBを使用してきて不具合は一度もありませんでした。タイピングしたくなったらただ背面の電源ボタンを押すだけ。早いし、信頼性が高いし、電池交換もまだ一度もしなくて済んでいます。
ここが過去のHHKBと大きく違っているところで、HHKB Professional HYBRIDを完璧なキーボードたらしめている所以、すなわち非の打ちどころのないワイヤレス接続です。
最後に言わせて
税込みで3万250円は決して安くありません。ワンランク上のキーボードに興味があるから軽く始めてみたいという人や、仕事上テンキーが必要な人、趣味でスクロールホイール、マクロキーやLEDのピカピカライトが欲しい人には不向きだと思います。
これは純粋主義者のためのキーボード。エリート感に溺れたいイヤなヤツのためのキーボードです。まさに珠玉のキーボード。もう、ほかには戻れません。
まとめ
・めちゃくちゃ高い。
・フルサイズキーボードの60%。Fnキーとの併用によるキーの操作が必要。
・美しい。
・BluetoothとUSB-C接続のいずれかを選べる。
・WindowsでもMacでも使用可能で、ソフトウェアのインストールは必要なし。
<編集部注:米Gizmodoのレビューと内容を一部変更しています>
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