コンパクトなのにi9-10900T/メモリ64GB/SSD 1TBとGeForce GTX 1650のハイパワー!
筆者がメインで使っているNUCも含め、小型デスクトップパソコンはいろいろな種類が出ているが、本機は約74×207×185mm(幅×奥行き×高さ)と、ディスクリートGPU(dGPU)搭載機としては小さいだけなくちょっとおもしろいアプローチをしている。
それはフォトグラファー向けに特化しており、同社の写真向けインクジェットプリンタ「SC-PX1V」とデザインを統一していること。次にdGPUとしてGeForce GTX 1650、GT 1030、Quadro P620、Quadro P1000が選べること。
さらにPhotoshopやLightroom、SILKYPIX 10、Nikon Capture NX-Dなどの動作確認済みの構成とし、BTO時にEIZO製ディスプレイ「ColorEdge」シリーズを同時購入可能。ColorEdgeディスプレイの“かんたん写真プリント色合わせツール”のインストールを一括で行なう、カラーマネージメント・プリセットアップが入ったUSBメモリが同梱されている。
つまり、本機、SC-PX1V、そしてEIZO ColorEdgeをまとめて同社のサイトから購入でき、セットアップすれば写真編集/プリントに最適な環境が、ポン! と揃うことになる。
プロセッサは、Core i3-10100T/i5-10500T/i7-10700T/i9-10900Tから選べるが、今回手元に届いたのはCore i9-10900Tだ。おもな仕様は以下のとおり。
【表1】エプソンダイレクト「Endeavor SG100E」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i9-10900T(10コア20スレッド/1.9GHz~4.6GHz/キャッシュ 20MB/TDP 35W) |
チップセット | Intel H470 |
メモリ | 64GB(PC4-2933/32GB×2) |
ストレージ | 1TB M.2 NVMe SSD×2 |
OS | Windows 10 Pro |
グラフィックス | GeForce GTX 1650(4GB) |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
インターフェイス | USB 3.1×3(前面×2、背面×1、1ポートはType-C)、USB 3.0×3(前面×1、背面×2)、Thunderbolt 3(背面×1、Power Delivery対応最大15W、DisplayPort出力対応、最大転送速度40Gbps)、HDMI 1.4b、DisplayPort、SDカードスロット(前面)、音声入出力(前面) |
サイズ/重量 | 約74×207×185mm(幅×奥行き×高さ)/約2.2kg |
その他 | カラーマネージメント・プリセットアップ入りUSBメモリ |
税別価格 | 30万8,000円(1TB M.2 NVMe SSD×1の場合) |
プロセッサは第10世代Comet LakeのCore i9-10900T。10コア20スレッド、クロックは1.9GHzから最大4.6GHz。キャッシュ 20MB、TDP 35Wと強力なものだ。後半に掲載したリソースモニター/CPUが壮絶なことになっている。
チップセットはH470。メモリスロットは2つあり、今回はDDR4-2933 32GB×2の計64GB。ストレージは1TB M.2 NVMe SSD×2。ソフトウェアRAIDにも対応する。OSは64bit版Windows 10 Pro。確認したところバージョンは2004だった。
グラフィックスはTuring アーキテクチャのGeForce GTX 1650(4GB)。HDMI 1.4bとDisplayPortを備えている。DisplayPort、HDMI、Thunderbolt(DisplayPort)で最大3画面のマルチディスプレイに対応する。
ネットワークは、Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1。そのほかのインターフェイスはUSB 3.1×3(前面×2、背面×1、1ポートはType-C)、USB 3.0×3(前面×1、背面×2)、Thunderbolt 3×1(背面×1、Power Delivery対応最大15W、DisplayPort出力対応、最大転送速度40Gbps)、SDカードスロット(前面)、音声入出力(前面)。ひととおり揃っているので拡張性も高い。
加えて冒頭に書いたとおり、カラーマネージメント・プリセットアップが入ったUSBメモリを同梱している。
サイズ約74×207×185mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。今回の構成でSSD 1TB×1にした場合の税別価格は30万8,000円。発売は11月10日なので詳細は不明だが、参考までに一番下のCore i3-10100T、メモリ8GB、256GB M.2 NVMe SSD、GeForce GTX 1650、Windows 10 Homeの構成で税別価格15万2,000円となる。
筐体はNUCほどではないとはいえ、iPhone Xとの冒頭の比較写真を見れば結構コンパクトなのがわかる。デザインを統一したと謳っている「SC-PX1V」は持っていないので、何とも言えないが、マットなブラックでカッコよく、自宅や会社でも机の上に置いて野暮ったさは感じないはずだ。
前面は多くのコネクタ類がパネルに覆われており、見えているのは上左側に電源ボタンとステータスLEDだけ。パネルを開けると、上から順にUSB 3.1、USB 3.0、ステータスLED、Type-C(USB 3.1)、SDカードスロット、音声入出力が並んでいる。
背面は上のDisplayPort/HDMIは未使用。Gigabit Ethernet、USB 3.0、Thunderbolt 3、USB 3.1、USB 3.0、電源入力。拡張スロットにDVI、HDMI、DisplayPort。
付属品はACアダプタ、USBメモリ、固定用の足など。ただACアダプタは、サイズが約155×85×25mm、重量608gとかなり大きく重い(出力19.5V/11.8A)。筐体が小さいだけに余計目立ってしまう格好だ。とは言え、うまく設置してしまえば目立たないので、とくに気にする必要はないだろう。
ネジを2つ外すと、筐体全体を覆うパネルを外せるので内部へのアクセスは容易だが、その先がまたいろいろパネルがあり、今回は分解しなかった。写真からもわかるように、上側にCPUファンとシステムファンの2基。下側にdGPUがライザーカード上にある。保証外かもしれないが、自分でメモリやストレージを増設するときには少し面倒だと思われる。
ノイズは、起動時にファンの音がそれなりに鳴るが落ち着けば静かだ。ベンチマークテストなど負荷をかけても気持ち音が大きくなる程度。これなら机の上に設置しても気にならないと思われる。発熱や振動は試用した範囲では問題ないレベルだった。
ゲーミングパソコンほどではないが、フォトグラファー用としては十分過ぎる性能
初期起動時、スタート画面(タブレットモード)はフルHDで1画面。EPSONのおすすめグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプル。リソースモニターのCPUが18個(実際には20個)並ぶのはなかなかお目にかかれない光景だ。操作感は、これほどのパソコンなので快適そのもの。
ストレージはM.2 NVMe SSD 1TBのSAMSUNG「MZVLB1T0HBLR-00000」が2基。仕様によるとシーケンシャル3,500MB/s、シーケンシャルライト3,000 MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもそのまま出ている。プライマリはCとDドライブの2パーティション、セカンダリはEが割り当てられ、Cドライブは500GB中空き440GB。Dドライブ452GB、Eドライブ953GBと、それぞれ未使用だ。
Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1はすべてIntel製。GeForce GTX 1650は、4,096MB GDDR6、CUDAコアが896基なのがわかる。
おもなプリインストールのソフトウェアは、「PCお役立ちナビ」、「システム診断ツール」、「ネットワーク診断ツール」などに加え、Thunderboltなどシステムコントロール系とシンプルだ。「カラーマネージメント・プリセットアップ」はストレージではなく、付属のUSBメモリに入っている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R20、CrystalDiskMarkを使用した。
dGPUがGeForce GTX 1650なので、RTX系を搭載したハイエンドゲーミングパソコンには劣るが、10コア20スレッドのCPUパワーに後押しされ、それでも結構なスコア。3DMarkもそれなりに速い。またストレージが速く、写真データを貯める一次メディアとしても申し分ない。
【表2】ベンチマーク結果 | |
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PCMark 10 v2.1.2506 | |
PCMark 10 Score | 5,533 |
Essentials | 9,003 |
App Start-up Score | 11,873 |
Video Conferencing Score | 6,951 |
Web Browsing Score | 8,845 |
Productivity | 7,737 |
Spreadsheets Score | 8,737 |
Writing Score | 6,852 |
Digital Content Creation | 6,602 |
Photo Editing Score | 7,432 |
Rendering and Visualization Score | 7,190 |
Video Editting Score | 5,387 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 4,693 |
Creative Accelarated 3.0 | 5,288 |
Work Accelarated 2.0 | 5,345 |
Storage | 5,062 |
3DMark v2.14.7042 | |
Time Spy | 3,773 |
Fire Strike Ultra | 1,865 |
Fire Strike Extreme | 4,107 |
Fire Strike | 8,511 |
Sky Diver | 26,103 |
Cloud Gate | 30,785 |
Ice Storm Extreme | 142,427 |
Ice Storm | 160,872 |
Cinebench R20 | |
CPU | 2,534(7位) |
CPU(Single Core) | 474(2位) |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 3551.045 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 3028.725 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 1440.751 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1409.790 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 433.366 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 372.388 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 44.925 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 105.941 MB/s |
本機は冒頭に書いたように、PhotoshopやLightroom、SILKYPIX 10、Nikon Capture NX-Dなどが動作確認済みだが、GPU対応のSIGMA Photo Proを使い、筆者のメインパソコン(NUC@Core i5-10210U/iGPU)と比較してみた。5枚の現像はNUCで32秒(iGPUのGPUにも対応している)のところが27秒だった。
1枚1秒の差と、アプリケーションの構造の関係か、あまり大きな差は出なかったものの、バッチ処理の枚数が60枚以上だと分単位で変わることになり、決して小さな差ではない。
以上のようにエプソンダイレクト「Endeavor SG100E」は、コンパクトながらハイエンド構成のデスクトップパソコンだ。おさらいすると、CPUCore i3-10100T/i5-10500T/i7-10700T/i9-10900T、GPUはiGPU、GeForce GTX 1650/GT 1030、Quadro P620/P1000が選べる。
同社のインクジェットプリンタ「SC-PX1V」とデザインを合わせ、Photoshopなどの動作確認、そしてEIZO ColorEdge用のドライバなどを含んだUSBメモリの同梱など、フォトグラファーのための環境が簡単に構築できる興味深いマシンに仕上がっている。搭載しているインターフェイスや、BTOで選べる最大メモリ/ストレージ容量も申し分ない。
もちろん自作パソコンでも同様なことは可能だが、この手の製品を導入すれば手間暇かける必要がなく、安心感があるのは言うまでもない。写真には自信があるが、パソコンやカラーマネージメントはいまひとつわからないといったユーザーに、おすすめしたい1台と言えよう。
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