それはAMDがオンラインで行なった記者会見の終盤だった。NVIDIAのGeForce RTX 3080に匹敵するRadeon RX 6800 XT、GeForce RTX 2080 Tiに匹敵するRadeon RX 6800を発表し、これで終わりかと皆が思ったところで、最近AMD CEO リサ・スー氏が好んで使う「One More Things」(もう1つ発表がある)と述べ、おもむろに「Radeon RX 6900 XT」をサプライズ的に発表した。
下位製品となるRadeon RX 6800 XTに比べてCu(コンピュートユニット)が増えており、性能がさらに向上しており、AMDが公開したデータによれば、現時点でNVIDIAの最高峰製品となるGeForce RTX 3090と性能がほぼ同じか、ゲームによっては上回るとアピールした。
このことは両社の競争では、大きな意味がある。というのも、近年のAMDのGPUは、NVIDIAの下位グレードのGPUにしか性能で対抗しておらず、「値段で勝負」という競争軸でしか競争できていなかった。しかし、Radeon RX 6900 XTではそれが大きく覆され、AMDがNVIDIAの最高峰と同等の性能を発揮し、しかも安いということが売りになる。
このRadeon RX 6900 XTの登場で、これまで事実上NVIDIA一択だったハイエンドGPUの選択肢がNVIDIA/AMDの二択になり、市場は大きく変わっていくことになりそうだ。
NVIDIAとの価格競争が再び始まるか、それともNVIDIAは隠し球を投入して再び引き離すか……
それでも、GeForce RTX 3090に匹敵する性能を発揮できるという性能を出せるということは、対NVIDIAとの競争では大きな意味を持ってくるだろう。というのも、ここ数年、AMDのGPUの最上位モデルはつねにNVIDIAの最上位に比べてベンチマークで勝てないという状況が常態化していた。昨年のRDNAアーキテクチャでの最上位モデルがRadeon RX 5700 XTで、GeForce RTX 2070対抗という位置づけだったことがその最たる例と言える。
AMDは常に「電力効率や価格競争力が優れている」というようにアピールしてきたが、とはいえ性能を重視するハイエンドゲーマーには「でも結局負けてるじゃん」という認識を持たれてしまっていたのは否定できないと思う。
だが、今回のRDNA2世代ではそこが大きく異なる。少なくともAMD公式のベンチマークテストの結果では、Radeon RX 6900 XTがGeForce RTX 3090と良い勝負を繰り広げている。しかも、ボード全体の消費電力ではGeForce RTX 3090が350Wであるのに対して、AMDのそれは300Wと少なくなっている。つまり電力効率ではAMDの方が上だと考えることができる。
それが実際の製品でどうかはもちろん製品のリリースやそれに先だって公開されることが多いメディアによるベンチマークテストを待つ必要があるが、少なくとも今言える事は、AMDが性能競争に戻ってきたということはエンドユーザーとしては歓迎して良いということが出来るのではないだろうか。これに対して、NVIDIAがどんな手を打ってくるのか、GeForce RTX 30シリーズを値下げするのか、さらにトップエンドな製品を投入してくるのか、そちらにも期待したいところだ。
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