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新型Nintendo Switchがいまいちに見えるのは「スイッチは据置機か携帯機か問題」が顕在化したからではないか - IGN Japan

ついにNintendo Switchの新型が発表された! しかし、その正体はマイナーバージョンアップとでもいうべきものだった! 私はこれといって盛り上がれなかったのが正直なところである。

新型となる有機ELモデルの特徴をまとめると以下のようになる。

  1. 有機ELディスプレイを搭載
  2. 液晶画面が6.2インチから7.0インチに
  3. フリーストップ式スタンドにより、自由な角度で設置可能
  4. ドックにLANポートが搭載
  5. 本体保存メモリーが64GBに増加
  6. スピーカーが新しいものになる

もちろんどれも長所なのだが、ともすれば中途半端に見えるだろう。Nintendo Switchを据置機としてモニターに接続して使っている人にとっては、嬉しいポイントは4と5くらいだが、そもそも現状も別売りの製品を使えば有線LAN接続もできるし保存メモリーも増やせる。おまけに、ファミ通.comによると、新型もCPU/GPUは従来と同じだという。

一方、Nintendo Switchを携帯機として見ているプレイヤーからすると嬉しいことが多いものの、携帯することをメインにするのであればすでにNintendo Switch Liteが存在するわけだ。やはり、これから買おうとする人に向けられた新型であって、すでに持っている人はあまり対象になっていないといえるだろう。

Nintendo Switchの特徴はハイブリッドであり、据置機なのに携帯ゲーム機のように遊べる部分だ。しかし、実際のところ据置機としてNintendo Switchを使う人はよりスペックを向上してほしいわけで、これはハイブリッドであること、悪くいえばどっちつかずなところが問題になったように見える。

Nintendo Switchにスペックが求められるのは当然だが、4Kは必要か?

『Apex Legends』(2019) 画像は2021年リリースのNintendo Switch版。悲しいことにあまりにも画面がぼやけている。

そもそもなぜNintendo Switchにスペックが必要なのか? 現段階でもいろいろなゲームが遊べているのだから問題ないではないか。あるいは噂を期待していたせいで肩透かしを食らっているだけではないか。……と思う気持ちもわからなくもないが、やはり据置機である以上はそれなりの性能が必要だ。

Nintendo Switch向けのゲームは無理をしているケースがしばしばあり、たとえば『Apex Legends』のように明らかに足を引っ張っているケースもある。あるいは、低年齢層にも人気の高い『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』もスペックが足りていればNintendo Switchで同時発売される可能性もあったのでは、とつい考えてしまう。

『It Takes Two』のような協力プレイをするゲームもまたNintendo Switchに向いているが、ビジュアルがかなりリッチなので移植されるにしてもすぐにとはいかないだろう(ついでに片方のJoy-Conではボタンが足りないという問題もある)。つまり、4年半前にNintendo Switchが発売されたときスペックはあまり問題なかったが、いまの据置機としてはスペックが足かせになりつつあるのではないか。

とはいえ、ハイブリッド機である以上は携帯機としての制約があるわけだ。PlayStation 5やXbox Series Xくらいのスペックがあれば最高だが、あんなものを常に持ちながらゲームはできない。スペックが向上してほしいのは確かなものの、かといって他のハードのように4K出力できればいいというわけでもないのである。そもそもよそのハードと真正面からぶつかっても仕方がないし、ハイブリッドなのがNintendo Switchなのだから。

“ハイブリッドの良さ”を改めて推す必要があるのではないか

あくまで私の考えだが、Nintendo Switchに必要なのは携帯モードでのフルHD(1920×720ピクセル)出力ではないか。新型含め、現在のNintendo Switchでは携帯モードでの解像度がHD(1280×720ピクセル)しかないのだが、これがTVモードでしか使わない人が出る一因だと思われる。

TVモードではフルHD、携帯モードではHD、おまけにゲームによっては持ち運ぶとさらに解像度が落ちる。こうなると、よい良い体験をしたい人はTVモード一択になって当然だ。もし携帯モードでもフルHD出力ができれば見劣りせず、有機ELディスプレイがより魅力的となる。それどころか、まさしく「据置機を携帯できるNintendo Switchのハイブリッド制の強み」をより打ち出せるのではないか。

さらに望みをいえば、Nintendo SwitchにはXbox Series Xに搭載されている「クイックレジューム」のような機能がほしい。この機能は中断したゲームの状態ごと保持されるというもので、ソフトの切り替えの境目がほとんどなくなっている驚くべきものだ。

Nintendo Switchは数多くのゲームソフトが集まる場になっているため、好きなように切り替えができればもはや最高のゲームハードになりうるだろう。もっとも、クイックレジュームはハイエンドのNintendo Switchが出ても難しいだろうが、ゲームの複数起動をさらに楽にする機能が求められているのは間違いない。ましてや発売から時間が経ち、プレイヤーたちが多くのソフトを抱えるようになったいまでは。

少なくともNintendo Switchは今のままでも魅力はある

いまやNintendo Switchの役割や意味合いは多岐にわたる。気軽にインディーゲームを遊ぶためのゲーム機でもあり、より多くの人が集まるゲーム機でもあり、まさしくプラットフォームとして好む人がいるゲーム機でもあり、そして発売からだいぶ時間の経ったゲーム機でもある。

少なくともこれまでNintendo Switchのハイブリッド制は大きな魅力であったし、独自路線として素晴らしかった。一方で、いまになると据置機としては置いていかれている印象は拭えない。しかし据置機としてスペックアップすべきというよりは、ハイブリッド制の家庭用ゲーム機として立場を見直さなければならない時期が近づいているのではないか。

とはいえ、そういった状況になっても任天堂がスペック向上版を出さなかったのもなんとなく理解できる。いまは世界的な半導体不足だし、それが足を引っ張っているだけのことなのかもしれない。そもそもの話、Nintendo Switchの魅力はハイブリッドなだけでなく任天堂のソフトが遊べるところにもある。

2021年後半から2022年のタイトルラインナップはかなりすごい。有名なものをざっと挙げるだけでもこの状態だ。

  • 『おすそわける メイド イン ワリオ』
  • 『メトロイド ドレッド』
  • 『マリオパーティ スーパースターズ』
  • 『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』
  • 『Pokémon LEGENDS アルセウス』
  • 『スプラトゥーン3』
  • 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』続編 画像は任天堂公式サイトより

Nintendo Switchはハイブリッド制であることも重要だが、そもそも任天堂やポケモンの作品が遊べる唯一のゲーム機であることも非常に大きい。ゆえに、今後もNintendo Switchの人気は揺るぎないだろうし、なんなら販売台数も伸ばし続けるだろう。

とはいえ、Nintendo Switchが発売から時間が経っていることは間違いようのない事実だ。ハイブリッド制は間違いなく素晴らしいが、一方で時間が経過してそのメリットが減ってくると「据置機なのか携帯機なのか中途半端」な部分が目に見えてくる。その問題が特に目立つのが、今回の有機ELモデルなのではなかろうか。


渡邉卓也(@SSSSSDM)はフリーランスのゲームライター。Nintendo Switchは携帯モードだとスクリーンショットがHDになってしまうのが気になるのでTVモードで使いがち。

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