「我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこへ行くのか」 この根源的な問いに、世界の最先端を行く物理学者・村山斉さんが、分かりやすい例え話を使って解説する「村山斉の宇宙をめぐる大冒険」。最終回は、私たちが今この宇宙に存在できる理由について。村山さんと一緒に日本の伝統文化に触れながら、宇宙の始まりに起きた不思議な出来事に迫ります。(コズミックフロント取材班) 【写真】多くの人が知らない…「宇宙が“終わる時”」、その壮大な“2つ”のシナリオ ---------- 【プロフィール】 村山斉(むらやま ひとし) カリフォルニア大学バークレイ校教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構教授。1964年東京生まれ。素粒子物理学の第一人者で、宇宙の謎に対する、分かりやすくて面白い講演も人気の理論物理学者。 ----------
宇宙も地球も私たちも元素でできている
「宇宙になぜ私たちが存在しているのか?」このとても素朴な疑問に答えるために、まず私たちの身近なものから見ていきましょう。 私たち人間の体は、およそ60兆個の細胞でできています。細胞はタンパク質や脂質、水などから成り、これらの物質は、窒素、リン、酸素、炭素、水素という「元素」からできています。もちろん体全体を見ると、もっとたくさんの元素が必要で、何十種類もの元素から成り立っています。 元素は今までに118種類見つかっていますが、その中には人間が人工的に作り出したものもあるので、自然の中にある物質を作る元素はおよそ90種類です。全ての物の元になる材料ということで、昔の人は「元素」と名付けました。私たちの身の回りのものは全て、元素の組み合わせでできています。そして元素の正体は「原子」です。原子は真ん中に原子核があり、その周りを電子が回っています。
物質の最小の世界へ
実は原子を構成する原子核と電子は、とても小さいんです。では、どのくらい小さいのか、野球場でお見せしましょう。野球場全体を原子の大きさだと考えます。原子核の大きさはというと、野球場の真ん中に立つ村山さんの手の上のわずか数ミリほどのサイズになります。 そして、原子核の周りを回る電子はスタンドの一番上に位置します。その大きさは髪の毛の太さほどもありません。つまり、原子核も電子も、原子の大きさに比べたらずっと小さいのです。 この世にあるものはすべて原子からできていて、原子は、とても小さな電子と原子核からできています。さらに、原子核を構成するのは、もっと小さな陽子と中性子で、その中には、もっともっと小さな世界が隠れています。物質を作る一番小さな単位、素粒子の世界です。 陽子も中性子も、作っているのは2種類の素粒子です。実は、原子核の周りを回る電子も素粒子の1種です。つまり、私たちの身の回りの物質は全て、この3つの素粒子に行き着くのです。 さあ、私たちが宇宙に存在する理由を知るために、物質の最小単位の素粒子が、いつどうやって生まれたのか見ていきましょう。誕生の現場となったのは、宇宙の始まり、ビッグバンです。
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