メイン端末の1つとして、6月の発売以降、「Xperia 1 II」を使い続けてきた筆者。2020年のベストバイとして挙げたいのも、このモデルです。勢いが微妙なころのXperiaは、コンセプトがふらふらしていたこともあり、購買意欲をそそられず、長らく自らがチョイスする端末としての選択肢からは外れていました。
そんな中、ソニーモバイルは「Xperia 1」でコンセプトを一新。第2弾となるXperia 1 IIでは5Gに対応したうえで、カメラも大幅に強化し、機能面にも磨きをかけてきました。リニューアルを図ったのはXperia 1ですが、機能や仕様がコンセプトに追いついていなかったのも事実。どちらかと言えば、Xperia 1 IIの方が、開発思想を忠実に体現している印象もあります。
特にカメラでは、昨今のトレンドである「コンピューテーショナルフォトグラフィー」とは真逆の方向性を打ち出しました。「α」のUIをスマホに落とし込んだ「Photography Pro」は、AIが自動で撮ってくれるというより、人間が考えながら手動で設定を探っていくアプリ。パラメーターをあれこれいじりながら、撮っていくのはおもいのほか楽しく、AI任せにしない撮影もアリなのではと思うようになりました。
スマホのカメラはシャッターを押すだけで、手軽に撮れるのが魅力ですが、逆に誰が撮っても同じようになってしまいがち。設定によって仕上がりを調整できるPhotography Proは、その点でまさにデジカメです。ただ、もうちょっとHDRを効かせてほしいとか、あれこれ設定をいじっているとシャッターチャンスを逃してしまうといった難点はあります。その意味では、iPhoneやGalaxyやAQUOSシリーズのように、万人にお勧めできるスマホというわけではありません。
開発したソニーモバイル側もそれは百も承知でしょう。だからこそ「好きを極める人」をターゲットに据え、スマホの王道とは勝負しない道を進んでいるわけで、人によって好き嫌いは大きく分かれるのは当然だと思います。Xperia 1 IIに関しては、このコンセプトを導入したXperia Iよりも人を選ぶ印象すらあります。上で、開発コンセプトを忠実に体現したと書いたのはそのためです。
丸みを帯びたデザインが全盛の中、ノッチなしの角ばったデザインを採用しているところにも、逆張り感が出ています。単に、ほかと違う道を行くというだけでなく、映像を見る際にもノッチがないのはメリットになります。「iPhone X」の登場以降、どのスマホにも当たり前のようにノッチがついていますが、正直、映像を見るには邪魔でしかありません。パンチホールで存在感を薄くしている端末もありますが、映像をきっちり見せるためにインカメラはきちんとベゼルに載せるというソニーモバイルの姿勢は、ソニーらしく、好感が持てます。
一見するとシルバーのような、パープルの上品なカラーリングも筆者の好み。Xperia 1 IIは久々のXperiaでしたが、使っているうちにかなり愛着もわいてきました。結果として、以前の連載で取り上げたようにパープルを“おかわり”してしまうわけですが、同じ端末を2回も買ったのは初めてのこと。2回も買った以上、個人的なベストバイとして挙げないわけにはいきません(笑)。
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おかわりしたのは、SIMフリー版が発売されたためですが、この挑戦も評価したいところ。キャリア版より数カ月遅れにはなってしまいましたが、デュアルSIMでメモリ、ストレージを増強しているため、実質的なマイナーチェンジモデルと考えることもできなくはありません。キャリア版との価格差も非常に小さいため、このタイミングでXperia 1 IIを購入しようと思っていた人にとって、SIMフリー版はいい選択肢。この取り組みは、2021年以降もぜひ継続してほしいですね。
欲を言えば、ソフトウェアにもう少し独自性がほしいところ。TimescapeやMediascapeを搭載した(日本における)初代Xperiaのように、Androidをゴリゴリにカスタマイズしてほしいというわけではありませんが、このところのXperiaは、どんどん独自アプリがリストラの憂き目にあっています。気づいたら、POBoxもカレンダーもアルバムもなくなってしまい、すべてGoogleのそれに置き換えられています。素のAndroidっぷりは、まるでPixelかのようです。
独自ソフトに賛否があるのは承知の上ですが、こうした基本アプリはどのメーカーもカスタマイズを加えて“らしさ”を出しています。カレンダーやアルバムは、GoogleカレンダーやGoogleフォトのアプリが使いやすければいいのですが、必ずしもそうではなく、UIについては正直イマイチだと思っています。会社的に、そこにリソースを割けるほどの状況ではないのかもしれませんが、Xperiaらしさを出すうえでは、こうしたアプリの数々は復活させてほしいところです。
とは言え、これらが些細なことのように思えるほど、Xperia 1 IIは魅力にあふれた端末で、今も愛用しています。例年どおりのスケジュールだとすると、後2カ月ほどで後継機が発表されてしまいそうですが、このコンセプトはブラさずに続けてほしいと感じています。
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