本作は横視点2Dアクションというジャンルと,“主人公の騎士・アーサーがさらわれたプリンセスを助けにいく”というアウトラインも継承。アーサーはプリンセスを救うべく,さまざまな武器と魔法を駆使し,ステージを進撃していく。
グラフィックスはSwitch向けに最適化されており,強面だがどこかコミカルな魔物たちが手描きイラストのように描写されるさまは,まるで絵本のよう。初代「魔界村」もイラスト的なテイストをCG(ドット絵)で再現したことが話題となった作品なので,映像面の流儀も引き継がれていると言っていいだろう。なお,本作は「魔界村」と「大魔界村」の2作品がモチーフになっており,当時を知る人なら懐かしく感じられる部分も多いように思える。
アーサーのアクションは,「魔界村」と「大魔界村」がモチーフということで,武器の上下撃ちは使えるが,「超魔界村」以降の2段ジャンプはない。また,魔法については溜め撃ちだけで使える「大魔界村」式を採用しつつ,武器と魔法が独立した「極魔界村」の要素が取り入れられている。特別難しいアクションも存在しないので,シリーズ初心者や久しぶりに遊ぶ人も理解しやすいはずだ。
今回遊べた範囲は4面までだったが,それでも難度は高かったと言わざるを得ない。初めて遊ぶ人を餌食にする“初見殺し”が多いうえ,「魔界村」シリーズらしい地形や高低差を利用して有利に立ち回る敵が殺意満々で襲いかかってくる。
また,魔界村あるあるではないが,癖のある武器を誤って拾ってしまい,四苦八苦しながら立て直しを図るという流れも健在。やられながら腕前を磨くゲームを昨今では“死にゲー”と呼ぶが,本作においても少しずつマップや敵の配置を覚えていきゲームを進めていく死にゲーの楽しさを味わえた。
なお,本作には救済機能として,難度を下げられるシステムが導入されている。難度は「伝説の騎士」「孤高の騎士」「若き騎士」「見習い騎士」という4段階が用意されており,下げると鎧の耐久力が増していく。伝説の騎士では攻撃1発で全損していた鎧も,見習い騎士なら何発か耐えてくれるうえ,何回死んでもその場で復活できる。
見習い騎士にすれば,簡単に進められると思いきや実はそんなことはない。鎧の耐久は上がるものの,落下したら即死となる崖や沼が随所にあり,パターンをしっかりと覚えて対処しないといけないからだ。ステージにはほかにも,形を変えて迫りくるトゲや,暗闇の中で灯りをともしながら進んでいく場所など,さまざまなギミックやトラップが用意されており,アーサーをあの手この手で苦しめる。
そんな厳しい旅路を助けてくれるのが,「オービィの木」から得られる魔法とスキルだ。これらはリスクを冒すことで強くなれる,少し特殊なパワーアップ要素となっている。
ステージには不思議な生き物「オービィ」が飛んでおり,これを助けた状態でクリアすることで,オービィを木に戻せる。オービィの木は枝分かれしており,戻したオービィの数やルートに応じた魔法やスキルが手に入るといった具合だ。オービィの木がスキルツリー,オービィはスキルポイントと考えると分かりやすいだろう。
オービィがいるのは危険な場所が多く,オービィを追っていたら敵に突っ込んでしまったとか,足場を踏み外した……なんてこともたびたび発生する。本作はチェックポイントの間隔が長いため,新しいオービィを見つけた時は「安全を取ってそのまま進むか,チェックポイントまで戻ってしまう危険を冒してオービィを取るか」という選択を迫られる。
入手した魔法は溜め撃ちで使用できる。雷を落とすサンダーストームや,分身と同時攻撃するドッペルゲンガーといった「大魔界村」風のものや,岩になって体当たりするブロックロック,敵を比較的無害なカエルにするガマなど癖のあるものも存在する。見た目も派手で「大魔界村」を初めてプレイしたときのワクワクが蘇ってくるかのようだ。
また,魔法と同様にスキルも面白く,アーサーの鎧がなくなった直後の一撃がパワーアップするパンツパワーや,武器を複数持てる武器所持数アップといった,便利かつユニークな能力がそろっている。オービィの数は限られているため,魔法とスキルのどちらを優先するかが難しいところだが,振り直しはいつでもできるので,ステージによって最適なセッティングを模索するのも新たな楽しみ方と言えるだろう。
インプレッションは以上となる。今回は4面までのプレイとなったが,高難度の死にゲーである「魔界村」シリーズの流儀をたっぷりと体感できた。また,今回は1人用のプレイのみとなったが,2人目がサポートキャラクターの「サンテンジー」を使って,アーサーをサポートできる協力プレイも楽しめるという。
本作は本日配信となるが,先日配信された「カプコンアーケードスタジアム」には旧作となる「魔界村」と「大魔界村」が収録されている。本作を遊んで興味が湧いた人はこちらで“魔界村”の原点を味わってみるのもいいだろう。
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