火星に探査車が着陸する瞬間が初めて撮影された。
映像には、重さ1トンの探査車「パーシビアランス」が、火星のジェゼロ・クレーターの赤茶けた表面に降下していく様子が鮮やかに映し出されている。2月18日(日本時間19日)の着陸時に撮影されたものを、米航空宇宙局(NASA)が公開した。科学者らはこれまで探査車の火星着陸を直接目撃することはできず、探査車の動きを記録したデータから読み取るしかなかった。
「何年も待っていた日がついに来ました。まだ実感が湧きません」と、NASAジェット推進研究所(JPL)のアダム・ネルセン氏は話す。氏は降下映像の撮影を担当したチームの一員だ。「まるでSF映画の一場面のようです」
NASAはさらに、火星の地表で20日に撮影した360度のパノラマ画像や軌道上で撮影された画像、火星のそよ風の音が聞こえる地表の音声も公開した。(参考記事:「【解説】NASAの探査車「パーシビアランス」が火星着陸に成功」)
「生命の痕跡探す」任務のため
パーシビアランスは7カ月かけて4億8000万キロ以上を移動し、火星に到達した。その後、パラシュートで火星の大気圏をゆっくり降下し、スカイクレーンと呼ばれる装置を使ってクレーター内部に軟着陸した。数十億年前、ジェゼロ・クレーターは深い湖だったと考えられている。パーシビアランスの任務はクレーターの岩石や堆積物から太古の生命の痕跡を探すこと、地球の研究室で詳細な調査を行うための岩石サンプルを採取することだ。
「火星が遠い過去に生命を支えていた可能性を示すとても有力な証拠があります。問題は、火星が生きた惑星だったかどうかです」と、パーシビアランスの火星探査プロジェクト「マーズ2020」の科学者を務めるカリフォルニア工科大学のケン・ファーリー氏は話す。(参考記事:「NASAの最新探査車が火星へ、どうやって生命の痕跡探す?」)
その質問に答えるためには、正常に機能する火星探査車が必要だ。NASAは非常に重い6輪のロボット車を火星に安全に到達させる革新的な方法を見つけなければならなかった。2012年には、同じスカイクレーン技術を使い、探査車キュリオシティが火星のゲール・クレーターに着陸した。しかし、着陸する一連の動作を科学者や技術者が火星から見ているかのように実際に見ることができたのは今回が初めてだ。
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