ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集委員
米航空宇宙局(NASA)は19日、前日に火星に着陸した探査車「パーサヴィアランス(忍耐)」から送られてきた驚くべき画像を公開した。
画像には火星に着陸する直前のパーサヴィアランスが写っている。この探査車は大容量メモリを搭載しており、段階的に地球へとデータを送っている。
ほかには、パラシュートで降下する探査車を捉えた衛星画像もある。これは、火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」(MRO)が秒速3キロで移動しながら、約700km離れた場所からパーサヴィアランスを撮影したもの。MROの計り知れない技術的成果と言える。
NASAは今後数日間で、「EDL」(突入、降下、着陸)シークエンスの間に撮影された音声付の短い動画など、さらに多くのデータが届くとしている。
パーサヴィアランスのチーフ・エンジニア、アダム・ステルツナー氏は、探査車を見下ろす画像は、宇宙探査の歴史において象徴的なイメージになるだろうと述べた。
「エンジンに巻き上げられた塵(ちり)が見える。火星の表面から2メートルほど上空にいる時のものだろう」
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パーサヴィアランスは米東部時間午後3時55分(日本時間19日午前5時55分)、火星の赤道付近にあるジェゼロと呼ばれる深いクレーターの中に降り立った。幅約45キロメートルのジェゼロ・クレーターは、数十億年前に巨大な湖があった場所とされ、かつて微生物が存在していたか調査が行われる予定。
パーサヴィアランスは調査予定地点の南東約2キロの地点に降り立った。
探査車の車輪は、暗い色の火山岩や、鉱物のカンラン石を多く含む岩の間の平らな地表部分に着陸した。
探査車の状態は良好
エンジニアはパーサヴィアランスのシステムを徐々に起動する中、探査車は良い状態が保たれていると報告している。
火星の大気圏に突入して着陸した際に損傷していないか、全てのハードウェアを確認する必要がある。
メインカメラがついたナビゲーション・マストを立ち上げた後、来週にもジェゼロ・クレーターの詳細が分かる画像を撮影することとなる。
パーサヴィアランスの地表戦略ミッションマネージャー、ポーリーン・ワン氏は「土曜日(20日)にマストが正常に立ち上がったら、画像をたくさん撮影するつもりだ。探査車や周囲の風景のパノラマ画像を撮影する」と説明した。
岩を分析
科学者チームはクレーターの探索を始めたくてうずうずしていると、プロジェクト科学副主任のケイティ・スタック・モーガン氏は述べた。
そして、まだ限られた画像しか送信されていないが、すでに話題にする価値のある魅力的な岩が写っているとした。
「岩が何を意味するのか、どのような堆積過程によって火星の表面にこれらの岩があるのかを解明するため、異なる色や質感のものを抽出している」
パーサヴィアランスの着地点は米アリゾナ州の国定公園にちなみ「キャニオン・デ・シェリー」と非公式に呼ばれている場所にある。この1.2キロ四方の範囲で調査する岩には、同公園で有名な砂岩にちなんで「スパイダー・ロック」と名付けるという。
NASAが火星着陸を成功させた探査車は、27億ドル(約2800億円)が投じられたパーサヴィアランスで5台目。
パーサヴィアランスは今後少なくとも2年かけて最初のミッションを遂行する。ハードウェアが良好な状況であれば、NASAが期間を延長する可能性はある。
生命体存在の証拠を探すほかに、岩のサンプルを持ち帰るというミッションもある。
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