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太陽系外惑星が公転周期で奏でる美しいハーモニーをどうぞ - ギズモード・ジャパン

♪ホータル来い、風味。

地球から200光年ほどの距離に、興味深い惑星系があることが分かりました。そこでは6つの惑星が確認されているのですが、そのうち5つがやたら規則正しく動いてるんです。しかもその惑星たちを詳しく調べると、惑星の密度の並び方が普通の惑星系とはだいぶ違うこともわかりました。この発見によって、今まで考えられてきた惑星系のあり方とか形成プロセスとかも問い直されていくかもしれません。

まず惑星の音楽を聞いてください

というかまずその惑星の周回の様子を可視化、というか可聴化、というかとにかくその動画をご覧&お聴きください。問題の惑星たちは恒星TOI-178を中心に周回していて、天文学術誌「Astronomy & Astrophysics」に発表された論文によれば、彼らの公転周期はぴったり18:9:6:4:3の関係なんです。つまり、一番内側の星がTOI-178の周りを18回周回するごとに、その隣の星は9回、その次の星は6回…と回っているんです。その関係を動画にするとこうなります。

音なしで見ても周期の一致ぶりはわかるんですけど、音で聴くとはっきり実感できます。ちなみに音階はペンタトニックスケールってやつになってるそうです。♪ホータル来い、にときどき和音が入ってくるような印象ですが、違うかもしれません。

この動画を見ると、周期が一致している惑星のさらに内側に、ひとつだけパターンの違う動き方をする惑星があります。でもこの惑星も、過去には他の惑星と共鳴していたのかもしれません。

複数の巨大望遠鏡を駆使しての観測

この論文の主著者はジュネーブ大学CHEOPSフェロー、Adrien Leleu氏です。天体力学の専門家であるLeleu氏らがTOI-178を初めて観察したとき、彼らはふたつの惑星が主星の周りを同じ軌道で回っているのではないかと考えましたが、確信はありませんでした。そこで彼らは欧州宇宙機関(ESA)のCHEOPS衛星と、欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡にあるESPRESSO、さらに次世代トランジットサーベイとSPECULOOSプロジェクトも使って追加の観測を行いました。これら複数の施設での観測結果から、彼らは6つの太陽系外惑星を発見するとともに、その軌道の状態までも理解できたわけです。

TOI-178の6つの惑星はすべて主星に近く、一番近いものが軌道を一周するのは2日、一番遠いものでも20日程度です。どれもハビタブルゾーン(暑すぎず寒すぎず、液体の水が存在しうる範囲)からは外れています。そして6つの惑星のうち5つが完全に共鳴していて、いくつかの星はかなり頻繁に直列しています。18:9:6:4:3のチェーンは、今まで発見された共鳴関係の中でも最長のひとつです。

このように公転周期がシンプルな整数比になる軌道共鳴は「ラプラス共鳴」といって、公転する天体同士がお互いに重力で影響し合うことで起こります。我々の太陽系では、木星の月であるイオとエウロパ、ガニメデが4:2:1の関係にあります。

割と若い惑星系?

TOI-178が興味深いところはいろいろあり、この軌道共鳴は安定状態がより長く続いていることを示唆しているようです。

「我々の惑星形成に関する理解では、共鳴のチェーンは惑星系の形成の初期段階、主星がまだガス円盤に包まれているときに起こります」とLeleu氏はメールの中で説明してくれました。「でも、形成から数十億年の間にいろいろなことが起こり得て、ほとんどの星系では共鳴状態を脱していきます。それはゆっくりと、たとえば(重力の)潮汐効果で起こることもありますし、不安定性や惑星の衝突・放出によって激しい形で起こることもあります」

4つ以上の惑星が関わる共鳴のチェーンを持つ星系はほかに5つしかなく、「多くはありません」とLeleu氏。専門家の間では、こうした惑星系は珍しく、非常に若いのだと考えられています。

惑星の中身も不思議

「TOI-178がユニークなところは、この軌道の状態だけでなく、惑星を構成する物質にもあります」とLeleu氏は続けます。それによって、惑星の形成や進化についての従来の理解が問い直されてもいます。

TOI-178の惑星たちは地球のサイズの1〜3倍なのですが、質量は地球の1.5〜30倍とだいぶ幅があります。なので軌道はほぼきっちりそろっているんですが、中身は割とバラバラということです。たとえばある惑星はスーパーアースなんですが、その隣の惑星は海王星のような密度の低い氷の巨星なんです。太陽系とはだいぶ違います。

Leleu氏によれば、惑星の密度は理論上、主星から遠ざかるほど下がっていくとされています。でもTOI-178はそうじゃないんです。「TOI-178でそれが当てはまるのは岩石の星である一番内側のふたつだけです。3番めの星は非常に密度が低く、4番め・5番目はより密度が高く、6番めはまたもっとフワっとしているんです」とLeleu氏は言います。

なのでもしかしたら、3番めの星は最初はもっと外側にあったのだけど、だんだん内側に移動してきたのかとか、そういった可能性を今後検証していく必要があります。

TOI-178にはもっと遠くにさらなる未知の惑星がある可能性もあります。ESOでは今次世代の超大型望遠鏡を建設中で、2020年代に使えるようになるはずなので、それを使ってさらなる発見があるかもしれません。

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