ソニーのゲーム子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が12日、約7年ぶりとなる家庭用ゲーム機の新機種「プレイステーション(PS)5」を売り出した。ソニーにとってPS5は安定した収益を狙える屋台骨の商品。販売は事前予約のみで、すべて完売するなど出足は好調だ。ゲーム市場はコロナ禍による「巣ごもり需要」を取り込もうと任天堂に加え米IT大手なども力を入れており、競争は熱を帯びる。
この日、東京都心にあるビックカメラ有楽町店は静かな開店を迎えた。先着順の販売はなく、発売日の恒例ともなった店頭の行列もできなかった。ゲーム売り場には模型を展示。担当者は「今回は異例」と話す。
コロナ禍による変化はPSの売り出し方にとどまらず、ソニーの戦略にも及ぶ。
PS5では臨場感を高める工夫が多く施された。映像は超高精細な「8K」も表示。ゲーム内の状況に応じてコントローラーが振動したり、力を入れないとボタンを押せないようにしたり。ゲームの世界をより体感できるという。記憶装置の改良でデータの読み込みがPS4と比べて100倍速くなり、ゲーム中の待ち時間は大幅に短くなる。
さらにPS初のダウンロード専用機を投入した。希望小売価格は3万9980円(税抜き)と、ソフトを記録したディスクを読み込むドライブがある通常機より1万円安い。
価格設定の背景には、店に行かなくてもネット経由でゲームを買って取り込むダウンロード方式が、PS4発売以降の7年間で浸透したこともある。昨年度にはソフト販売のおよそ半数を占めたが、外出自粛が広がった今年4~6月には74%まで高まった。
ソニーは近年、製品を売り切って一過性で稼ぐのではなく、サービスを通じて継続的に利益を得る「リカーリング(循環)」ビジネスにかじを切った。PSでも月額850円の「プレイステーション・プラス」という会員サービスを手がける。オンラインで世界中の人と対戦したり、毎月ゲーム数本を追加料金なしで遊べたりする。加入者は年々増え、今年9月末には4590万人に到達。ファンの囲い込みを図る。
PS5でも、会員であればゲー…
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