アトラシアンは、日本を含む海外主要5カ国における最近のリモートワークについての調査レポート「働くを再創造する『どこでも働ける勤務形態』を考える(Reworking Work: Understanding The Rise of Work Anywhere)」を、10月22日付で公表した。
この調査は、新型コロナ感染拡大を受けてリモートワークを実施する企業が増えるなか、日本、オーストラリア、フランス、ドイツおよびアメリカの5カ国において企業に勤めている5000名以上を対象に実施したもの。リモートワークに対する従業員の意識、自宅における働く環境、企業文化などについて諸外国と比較することによって、日本におけるリモートワークに関する課題が浮き彫りになったとしている。
このレポートによると、感染拡大以前にリモートワークをほとんど経験したことがなかったと回答した割合は、グローバル平均で43%であったのに対し、日本では51%。日本企業の多くが、4月に政府による緊急事態宣言発動を受けて本格的にリモートワークを導入しはじめたことが分かる。
日本の回答者のうち44%は、感染拡大という制約のなか、自宅で効率的に仕事をすることは難しいと回答。グローバル平均の27%と比較して非常に高い結果になったという。同様に、日本の回答者のうち23%がリモートワークにおいてチームでの作業が非効率になっていると回答。これもグローバル平均の13%を上回っている。さらに日本においては、リモートワークの方がチーム・コラボレーションがうまく機能していると答えたのはわずか17%で、グローバルの40%と大きなギャップがあると指摘する。
従業員の企業に対する満足度を尋ねた質問では、日本の回答者は企業に対する満足度が極めて低いことが明らかになっているという。具体的には、グローバルでは41%の回答者がリモートワークにおける企業のリーダーシップに満足していると回答。一方で日本の回答結果は18%に留まっている。また、自分の企業が従業員に対して「正しい行い」をしていると回答したのは、グローバルでは43%で、日本ではわずか19%ととても低い結果になっている。
さらに企業がリモートワークへの移行について十分に対応できているかとの質問に対しては、日本の回答者のうち48%がそうは思わないと回答。グローバル平均の29%と比較して、より多くの従業員が企業の対応に不満を募らせていることが分かるという。
この結果は伝統的な書類のやり取りや「ハンコ」による承認、FAXなどのアナログ作業により、リモートワークへの移行が阻害されていることへの不満が積み重なっていることなどが背後にあると考えられるという。そのため、日本のリモートワークにおいてはコミュニケーションの向上のみならず、仕事のあり方を見直す必要があると指摘する。
日本では企業文化として、オフィスでの滞在時間や長時間労働が評価される傾向がある。これに対してリモートワークの導入をきっかけに、より効率性を重視するように変革に取り組む企業もあるが、このレポートによれば、このような変革は十分には進んでおらず、自宅でのシャドーワーク(隠れて仕事をすること)やサービス残業などに置き換わってしまっているケースがあることが分かったという。例えば日本の回答者には、「夜中まで作業をした上で、翌朝に成果物を送る」などといった方法により、実際には自宅で長時間作業しているにもかかわらず、効率的に働いているように見せるために長時間労働を隠すように行動しているケースもあるという。
さらに日本の回答者の45%は、リモートワークの環境はオフィスに比べて物理的にふさわしくないと回答。グローバルの34%と比べて多くなっている。このことから、このレポートではそもそも日本の住居が他国に比べてスペースの面においても、リモートワークに向いていない可能性もあると推察している。
これらの結果からパンデミックによる前例のないリモートワークは、日本においては前向きなものではないことが示されており、企業のリーダーシップ、ワークライフバランス、チーム・コラボレーションの有効性などの観点から、改善の余地があることが明らかになっているとしている。
日本の回答者の56%は、オフィスまたは自宅のいずれかの勤務方法を選択できた方がよいと回答。これはグローバル平均の46%を上回る。日本では、引き続きオフィスが重要な役割を果たすと考えられるが、日本の回答者はオフィスとリモートワークを組み合わせた、ハイブリット型の働き方を好む傾向にあるとしている。
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