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コロ禍でみんなが波に乗った。2020年はスマートフィットネス元年に - ギズモード・ジャパン

フィットネステックの波が、一気に。

この2020年、コロナ太りもたしかにあるんですが、逆にコロナをきっかけにジムなしでできるエクササイズの世界が開花したようにも感じます。そんなこの1年の動きと、その背景にあった過去数年のフィットネステックの波について、米Gizmodoのフィットネスガジェット番・Victoria Song記者がまとめています。


高級ルームバイクが普通の人のジム代わりに

2019年1月、私は高級ランニングマシン・Peloton Tread(現Tread+)のうえでぜいぜいしながら思ってました。「このマシンはすごくナイスだけど、ごく普通の人がこれに4,000ドルも出すのってどんな世界だろう?」と。

その答えは、今まさに我々のいる世界です。このパンデミックで大手ジムも小規模フィットネススタジオも休業。通勤もなくなり、「ノーマル」にいつ戻るのかもはっきりしない今、高価なスポーツ器具はお金持ち専用のおもちゃではなく、まっとうなお金の使い道のになってきました。2020年の変化がいかに劇的であったか、Pelotonを見るだけでも実感できます。

だってPelotonはほんの1年前、夫が妻にPeloton Bikeをプレゼントして感謝される…という、どうしてこうなったというコマーシャルが失笑を買っていたんです。笑いの的になったのは主に、元々痩せてる美人妻へのクリスマスプレゼントにルームバイクっていう夫のセンスでしたが、一部ではそもそもなんでルームバイクが2,200ドル(約23万円)もするのかっていう憤りの声が聞こえてました。ルームバイクなら数万円でも十分良いものが買えるのに、その十数万円の差はなんなんだっていう。

しかし2020年9月、Pelotonは同社初の四半期での黒字発表しました。黒字化の理由は、有料会員数が100万人を超え、売上が前年比172%に増加したことです。CNNによれば、Pelotonがパンデミックの初期に打ち出した90日間の無料トライアルに登録した人たちのほとんどは月12.99ドル(約1,400円)の有料会員に移行し、2020年第2四半期になっても解約率は0.52%にとどまっているそうです。

ハード・ソフトに及ぶフィットネステックの波

このシフトを体現しているのは、Pelotonだけじゃありません。お高めヨガパンツで知られるLululemonは、1,500ドル(約16万円)もするスマートなフィットネスミラーを製造しているMirrorを5億ドル(約530億円)で買収しました。ロックダウンで店舗休業に追い込まれていたLululemonがフィットネスプラットフォームを買収するのは、賢い決断のように見えます。投資家向け発表の中でLululemonのCEO・Calvin McDonald氏は「COVIDという機会が、未来を現在に近づけた」と言い、2021年までにMirrorが黒字転換すると予測しました。

フィットネステックの波はハードウェアだけじゃなく、アプリやライブストリーミング動画にも及びます。私がいつも行くヨガスタジオが3月のロックダウンで最初にしたことは、Instagram Liveでのオンラインクラスでした。OrangetheoryやBlink Fitness、Planet Fitness、Crunch Fitness、などなどといったジムも無料クラスのライブストリーミングを始めました。ClassPassのようなアプリも環境変化に対応しました。フィットネスアプリのダウンロードは2020年前半だけで世界全体で46%向上し、中でも動画ベースのエクササイズアプリが一番の成長を見せています

ランニング/サイクリングアプリのStravaが最近出した2020年の振り返りレポートにも、フィットネステックの爆発ぶりが現れています。Stravaにアップロードされたランニングやサイクリングは前年比33%増の11億回以上となり、新規ユーザーが毎月200万人参加していました。

Stravaによれば、屋内でのエクササイズは2倍以上、屋外でのウォーキングは3倍以上に急増しました。マラソンのように人が集まるイベントは軒並みキャンセルになった分、バーチャルチャレンジやクラブは激増し、新しいクラブは3万件生まれ、ソロマラソンは数十万回記録されました。Stravaのやたら詳細なレポートのどこをどう見ても、数字は激しく増えたものだらけです。

横目で見てたみんなが波に乗った

考えればこれはみんな納得です。この5年だけでも、フィットネス/健康テック、とくにスマートウォッチにはすごい進化がありました。2020年にはFitbitやSamsungのアプリが米食品医薬品局(FDA)から承認を受け、Appleにキャッチアップしました。

Fitbitのフラッグシップ・Fitbit Senseはタイムリーにも皮膚電気活動センサーと皮膚温度センサーを搭載し、ストレス管理機能を提供し始めました。Apple Watch Series 6やSamsung Galaxy Watch 3でも血中酸素濃度(SpO2)を計測できるようになるとともに、最大酸素摂取量(VO2 Max)計測方法も向上させました。最大酸素摂取量なんてシリアスなアスリートか、よっぽど運動に興味のある人じゃないと今まで気にしてなかったんですが、メジャーな会社が機能を採用してるってことでこれからもっと一般化していきそうです。

フィットネステックの波は徐々に迫ってきてはいましたが、少し前までは様子見してる人たちもたくさんいました。でも2020年が、その人たちを一気に行動へと駆り立てたんです。私自身、ヨガや筋トレ、屋外ランをより楽しく充実させてくれるアプリを求めて、5つのフィットネスアプリを渡り歩きました。

家で運動するのは嫌いだったんですが、今じゃダンベル4セット、マット3枚、スマートなケトルベルスマートランニングインソール、フォームローラーを持ってます(ちなみにワンルームアパートメント居住)。スマートランニングシューズは、すでに今年3足目です。同僚のひとりはPelotonにどっぷりハマり、別のひとりはスマートなボートこぎマシンを持ってます。それ以外に、今年始めてスマートウォッチやフィットネストラッカーを買った人を4人知ってます。うち少なくともひとりは、スマートウォッチの伝道師へとクラスチェンジしました。

私はウェアラブルガジェットや健康・フィットネスガジェットのレビューが仕事なので、この9カ月ひっきりなしに、友だちや知り合いからお勧めを聞かれてました。「健康に効くアプリは?」「運動を増やすためのガジェットは?」「コロナ太り解消に使えるサービスは?」そんなメッセージが私のスマホに爆発的に届きました。みんなちょっと前までは「スマートウォッチなんて誰が使うの? ましてそのバカ高いスマートフィットネス器具は?」って感じだったので、私はもはや別の宇宙にワープしたような感覚さえ覚えています。

2020年ももうすぐ終わる今日この頃、友だちからApple Fitness+についてもらったテキストメッセージやDMのことを思い返してます。送ってきたのは好奇心旺盛なビギナーだったり、Apple Watch愛用者だったり、「値段に見合うのか」を知りたいだけの懐疑的な人だったり、いろいろです。でも2020年でなければ、Apple Fitness+なんてメディア編集者が何人か問い合わせてくる程度だったと思います。まして立ち上がってから1週間で、複数の友達がApple Fitness+の好きなインストラクターとか、Pelotonや他のフィットネスアプリとの比較とか、接続のトラブルシューティングとかをテキストで送ってくるとは思いもしませんでした。

“リアルなジム”は再定義が必要かも

これから新型コロナのワクチンが広がってジムが再開したとしても、フィットネスの世界はもう不可逆に変化してしまった気がします。来年はもう、フィットネステックの作り手たちはその価値をユーザーに力説する必要すらないでしょう。家でエクササイズ動画をストリーミングする快適さに多くの人が慣れてしまった今、リアルなジムという体験は完全に再定義される必要があるかもしれません。少なくとも私は、これからまたジムに行く気になるかどうか正直わかりません。そして、こう感じているのは私だけじゃない、ってことだけは確信しています。


ほんとですねー。あ、訳者です。私もコロナきっかけでエクササイズ動画を見て運動するようになったりして、Apple Watchでの消費カロリー目標を去年の1.5倍くらいにできました。ネットのおかげでいつでもどこでも買い物できるのと同じように、スマホやスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンみたいなテクノロジーのおかげで、運動も自分の都合のいい場所や時間で、データ管理しながらできる環境が整ってきてたんですよね。

この数年はその環境に気づいてもなかったんですが、コロナっていう強い制約ができたことで発見できました。なんか運動しなきゃって思ったら、とりあえずYouTubeで「家でできる簡単な運動」とか「おうちでエアロビ」とか何でもいいんですが、検索してみるのはおすすめです!

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